今年も新宿の地で、野宿者による野宿の仲間のためのメーデーを開催致します。
 いつも、いつもの恒例行事ですが、今年で19回目、毎年毎年5月1日に新宿の街には、仲間の「屋根と仕事」を求める行進が行われます。

 ホームレス問題、または路上生活者問題と呼ばれている問題は固定した層の問題として捉えられがちですが、地方都市とは違い、こと新宿においては流動した人々の層の問題として考える必要があります。路上生活者の数に未だ正確な数が把握されないのは、瞬間値や、一部の固定層にしか頭が及ばす、流動層の存在に思いもよらない社会の傾向を反映したものでしかありません。
 たとえば新宿区で云えば、昨年8月の都の概数調査では155名。ところが、前期の越年越冬時に私たちが調査したとこでは467名と約3倍の誤差が生じます。この誤差(どちらも歴史ある調査なので極端な間違いはないと考え)をどのように解釈したら良いかと云えば、155名は昼間誰の目にも分かる固定した人々の層として、残り312名は日々変化する世間が寝静まる深夜にようやく目につく流動した人々の層と考えられます。これら流動層の人々はどこから来るのかと云えば、自立支援制度や生活保護制度など諸制度からの循環(トンコや失敗)と、地方からの新規流入だと考えられます。
 新宿の地においては年々、この流動層の比率が高くなっています。固定した層の滞在歴は長期となり、その結果年々高齢化、病弱化しており、都市開発など何らかのきっかけで制度の方に吸収され易くなっているからです。その意味でも都の概数調査の減少傾向は、そのことを反映していると云えるでしょう。

 ここで問題になるのは、昼間、目に見える固定層の人々の諸問題が解決しつつあるから、この期をもってホームレス問題は終わるのかと云う問題です。
 固定した層だけの問題ならば入所率が減る筈の自立支援センターは未だ満床です。路上歴1日であるとか、1週間であるとか、地方から流れてきた若い仲間(流動層)がそこには多く入居しています。緊急宿泊事業なども同様です。

 あえて意図的な調査を続けている東京都などは早く終わらせたいのはやまやまなのでしょうが、実はまだ終わっていないのが、東京におけるホームレス問題の実情です。

 その基本的な視点に今回のメーデーは着目していきたいと思います。ここに齟齬がある限り、今後の対策の方向性や力加減が変わっていきます。

 ホームレス自立支援法にあるよう、官民協同でと云うのであれば、この基本的な視座を共有しなければなりません。時々の課題で右往左往する移ろい行く行政には、しっかりと物事を見据えると云う態度が欠けぎみです。

 現状をしっかりと伝え、そして共有していく。そして、方向性を一致させ、施策の質の問題をどのように改善していけるのか?
 実に地味で、分かりにくいと云われる活動ですが、路上の仲間がよりよく生きられるよう、そんな活動も必要だと考えます。

 新宿メーデーは趣旨に賛同下さる方でしたら、どなたでも飛び入り参加できます。デモと云っても、高齢の仲間が多いのでゆっくりと新宿の街を歩くパレードのようなものなので、思い思いの格好で是非ともご参加、そして注目をお願い致します。


5月1日(水)第19回新宿メーデー
午前11時半新宿中央公園集合(集合後移動)
正午 新宿区立柏木公園にてメーデー集会
午後12時45分 都庁へのパレード出発
午後1時00分 都庁交渉(予定)
午後1時30分前後中央公園多目的広場解散
主催・新宿連絡会 090-3818-3450