新宿駅周辺、新宿中央公園、高田馬場駅周辺、戸山公園で野宿しているおじさん達への訪問活動(パトロール)。
 週に二回(夜、昼)それぞれの地域を分担しながら行なっています。声をかけ挨拶を交わし、情報の書いたチラシ(路上新聞)を渡し、風邪薬などを提供し、相談を受けたり、時には救急車を呼び、添乗などもしています。

 パトロール(夜回り)隊は新宿連絡会の活動にとって、最も重要な機動部隊である。彼、彼女らの任務はとにかく「歩く」。そして迷惑がられようが何だろうが、仲間に出会ったら声をかける「やあ、元気かい?」。チラシをもっていればチラシを渡す。悩み事があればじっくり聴く。薬をもっていれば薬を渡す。毛布や衣類があればそれを渡す。喧嘩があれば仲裁をする。倒れた仲間がいれば救急車を呼び、添乗する。宴会と出くわしたら御相伴に預かる…。
 ご存じの通り新宿の街は眠らぬ街である。街は眠らないが、人は寝る。眠らぬ街に人が寝るから危険もまた多い。雑踏の人込みがあればあるだけ孤独になりやすい。
 仲間と仲間をつなぐのがパトロール隊の位置である。初めて野宿する仲間、人とのつきあいを余り持たない仲間、そんな仲間も仲間である。たとえ会話にならなくても、たとえ見ているだけでも、顔をあわせる時の重なりが警戒心を解いてくれる。
 これはあまり知られていない事なのだが、実はパトロールは健康に非常に良い。何せ2キロ、3キロと平気で歩くのであるから足が丈夫になる。血行が良くなる。「最近太りぎみだ」と言う人のダイエットにも丁度良い。パトロール隊のロートルメンバーの中にはパトロールをしないと調子が悪くなる人もいるくらいである。人の健康を云々するくらいだからパトロール隊は自分の健康管理にもうるさいのである。最近流行りなのが医療班の看護婦さんがもってきてくれるアームバンド式の血圧測定器で血圧を図って競いあう事。血圧は健康のバロメーター。日々の生活をだらだら送るよりも、人のため、世のため、そして自分の健康のためとパトロール隊は今日も新宿の街を歩き続ける。
 
 パトロールは夜だけとは限らない。金曜日の昼間は中央公園やその周辺で昼寝をしている仲間の元へと足を運ぶ。多くの人にであるためには時間帯の工夫が必要だ。どうせ声をかけるのなら、起きていてくれたほうがよほど良い。ぐっすりと寝ている仲間を起こしてしまうのはちょっと申し訳ない。だから昼間のパトロールも必要なのである。
 高田馬場、戸山公園には午後6時代にまわることにしている。日雇仲間が多いこの地帯では、ちょうど、仕事が終わり、テントなどでくつろいでいる時間帯に回るのが一番良い。毎日朝早く仕事探しにでかける仲間にとって夜遅くなど回られた日には迷惑千万であるからである。そういう気づかいもきちんとしているのである。
 
 新宿のパトロール隊は池袋にも出張している。こちらは、池袋の仲間や支援者が中心になって水曜の夜にまわっている。池袋の仲間からも頼りにされるパトロール隊。信頼の証しか、池袋の仲間は新宿の仲間のために「収穫物」(賞味期限切れの食品)をとっておいてもくれる。うれしい限りである。
 
 パトロール隊の中には一人でパトロールをしているという、歩くのが「趣味」になってしまった多い。と、言うかどこを歩いていても視線には仲間の姿を追っているという、もはや救い難い「パトロール中毒症」。ここまでなれば大したもので、流石の連絡会医療班でも治療は不可能。都市に仲間の姿がいなくなるまで病魔に苦しむ運命か。
 それはともかく、パトロールの楽しみは終った後、コーヒー一本飲みながら皆で談笑する事。「あんなのがいた」「こんな話があった」と話はつきない。
 
 仲間を思いやる優しき人々の集りが我がパトロール隊なのである。

(連絡会NEWS 22号より)