集 会 決 議 文

 バブル崩壊以降、全国の都市部において急増する野宿を余儀なくされている人々に対し、私達の社会が具体的な解決の方途を見出せず、混迷に混迷を重ね、その不作為の不利益を日々、過酷な生活を余儀なくされている野宿当事者に押し付けている現状を、私達は憂う。
 私達は路上で呻吟する仲間と共に、野宿という現状を打破しようと長年に亘り奮闘し続けて来た。各地において、夜回り、炊出し、医療相談、福祉相談、労働相談、生活相談など応急的な支援活動を行なうと同時に、路上から脱するための就労支援や自立支援もまた全力で行なって来た。そして、各地方自治体への要求行動、交渉、事業参画なども仲間と共に行なって来た。
 が、国は野宿者の生活を守り野宿から脱する施策を行なう責任を回避し、地方自治体も抜本的な施策への踏み込みを回避し、応急的な援護策を細々と行なうレベルでしかない。
 生活困窮者や失業者を野宿へと安易に転落させるこの社会、 そして、野宿者が放置されているこの社会は、多大なる不利益と危険を当事者に今も強いている。

 私達は、いわゆる「ホームレス問題」と言う場合、国の不作為の結果として野宿状態をあえて固定化させ、長期化させている事、そして、野宿者を安易に生み出す今日の社会構造をあえて放置している事こそが大きな問題の根幹であると考える。この点を変えて行く視点と施策を持たない限り、いくら応急的な援護策を拡大したとしても、現状は何ら改善されないだろう。
 私達はこれ以上、路上の死者を出さないためにも、これ以上、路上の仲間に不利益を強いないためにも、これ以上野宿者を増やさないためにも、今こそ、社会の総力をあげ、「ホームレス問題」に対する抜本的な取り組みを開始する時期であると訴える。
 
 私達は提起する。まず国が責任を持ち、全国的なホームレス対策をすみやかに行なえるよう、その根拠法として現在国会に上程されている「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」を早期に審議し、成立させる事。そして、その元で、野宿者の就労、住宅の確保に向けた具体的な自立支援策を、当事者のニーズを反映させ確定し、すみやかに実行に移す事。そして野宿防止策を失業対策にまで踏み込んだ広範なセーフティネットとして社会に構築して行く事。
 
 私達は野宿を余儀なくされた人々、そして余儀なくされそうな人々も含めて、様々な困難を抱えた人々、様々な失敗を繰り返して来た人でも、もう一度やり直せる社会システムの構築を希求する。貧しくとも、仕事に就き、社会に参画できる喜びを感じられ、あばら家でも、安心して雨露が凌げる居所を確保し、地域の中で共に生きる喜びを感じられる社会を希求する。
 そのために「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」制定に向けたたたかい、全国各地で生きるためのたたかいを全力で行なう。
 
 そして、野宿者を始め、社会の下積みで働く人々や失業を余儀なくされた人々と共に、雇用対策、失業対策、福祉政策、ホームレス対策の拡大をたたかい取るため、立場を超えた人々との共闘を強化していく。

 「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」制定の日まで、私達は全国各地でたたかい続ける事をここに決議する。
 

二〇〇一年十月六日
「ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案」の
    早期成立を求める10・6中央総決起集会参加者一同