9月10日、全国の野宿者支援団体、NPOなど8団体が厚生労働省、国土交通省などとの交渉を行ないました。ホームレス自立支援法制定に尽力下さった民主党の鍵田、山井衆議院議員も同席し、法律制定後の本格的な交渉が開始されたことになります。

 交渉の冒頭に鍵田、山井衆議院議員が法律制定の経過を述べられ、全会派一致で成立されたことの意義を重要に受け止め、積極的にホームレス対策に乗りだすよう求められました。続いて、下記の要望書に従って、全国の支援団体の代表者が各地の現状を含めて説明、各項目の要望をしていきました。

 厚生労働省から7名、国土交通省から9名が各部局から出席し、回答を行ないましたが、基本方針が策定されていない段階なので各答弁は具体的なものにならず歯切れの悪いものに終始しました。

 それでも法制定を求め続けて来た全国の団体が一同に会して統一した要望を打ちだして行った事は意義あることであったと考えます。法律においても「民間団体との連携」がうたわれており、民間団体の意見をも参考にしながら基本方針をたてさせて行くその第一歩を踏み出したと云えるでしょう。


厚生労働省御中
国土交通省御中
        

                 NPO北九州支援機構
  NPO釜が崎支援機構
                               釜が崎反失業連絡会
NPOささしま共生会
                           神奈川全県パトロール
                         新宿野宿労働者の生活・就労保障求める連絡会議
                               野宿者・人権資料センター

要望書

 「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が制定されたことを、私ども支援団体は支援運動にとって、非常な前進であると受け止めております。貴省におかれましても、早急に施策を打ち出し、また第8条に基づいて両大臣が基本方針を策定なさることと思います。その際には、私ども支援団体の意見も反映させていただきたいと考えております。つきましては、以下の要望・質問にお答えくださるよう、お願い致します。

A) 基本方針に以下の項目を含めてください。
1 法の見直し期間である5年先までに、野宿を余儀なくされる人々総員の自立支援を完了することを目標とすること
2 法には「自立の意思があるホームレス」という表現が多用されています。が、現在の日本の情勢で、生存権を含む基本的な権利を行使できないでいる人々が「自立の意思」を持ちつづけることは非常に困難です。野宿を余儀なくされている人々すべてが権利を行使できる支援策が必要であるという基本認識を明記してください。
3 あらゆる都市に野宿を余儀なくされる人が存在することは、周知の事実です。基本方針は、すべての自治体は、基本方針に即した計画を策定しなければならないことを明記してください。
4 第11条の「適正化条項」については、立法化を図った国会の決議を踏まえ、一方的な退去指導は禁止されていることを明記してください。
5 第3条2項に特に「就業の機会の確保」が謳われていることに鑑み、先駆的な自治体による自立支援事業や雇用交付金の活用の現状を学び、公的就労事業、能力活用事業、職業訓練も含めた、「就労の機会の確保」のための具体的な施策を盛り込んでいただきたいと考えます。
6 第3条1項3号の「生活保護法による保護の実施」については、厚生労働省の、生活保護適用の推進という見解が特に示されている(例えば7月の全国ケースワーカー会議)のであるから、踏み込んだ方針を盛り込んでください。
7 予防措置の対象者となる者の基準を明記して下さい。

B) 15年度予算概算要求額について説明してください。
  14年度のホームレス関連予算は約12億円でしたが、上記の基本方針実施のためには、十全な予算
  措置が必要と考えられます。

C) 基本方針を待たずに行なう緊急措置にはどのようなものがあるか、お知らせください。
1 第3条1項3号に挙げられている、一時的な宿泊場所の提供、日用品の支給などが早急に実施され
  るべきであると考えます。10月中に計画を策定し、11月の実施を目指すべきです。
2 就労機会提供事業の全国的展開と現在実施されている事業の増員措置(雇用創出基金交付金の期間
  均等ではない前倒し実行の指示)を取ってください。