東京都は2001年2月の都内路上生活者概数を発表しました。

合計 区管理分 都管理分 駅舎
千代田区 217(6) 78(2) 78(3) 61(1)
中央区 193(2) 86(1) 70(1) 37
港区 99(2) 41(1) 43 15(1)
新宿区 754(22) 242(3) 370(8) 142(11)
文京区 43(0) 34 7 2
台東区 995(38) 271(2) 625(28) 99(8)
墨田区 834(13) 442(6) 391(7) 1
江東区 130(2) 77(1) 52(1) 1
品川区 48(2) 33(2) 13 2
目黒区 14(0) 4 10 0
大田区 121(1) 108(1) 13 0
世田谷区 87(2) 67(1) 20(1) 0
渋谷区 412(6) 167(2) 245(4) 0
中野区 54(2) 50(2) 4 0
杉並区 69(1) 50(1) 19 0
豊島区 215(10) 126(4) 31(2) 58(4)
北区 91(4) 57(2) 34(2) 0
荒川区 134(2) 55 79(2) 0
板橋区 94(0) 77 16 1
練馬区 34(0) 17 17 0
足立区 97(1) 26 71(1) 0
葛飾区 82(1) 57 25(1) 0
江戸川区 180(5) 130(4) 50(1) 0
区分計 4997(122) 2295(35) 2283(62) 419(25)
77 77
総合計 5074(122) 2295(35) 2360(62) 419(25)

平成13年2月第2週調査 ( )は女性


参考資料・過去の東京都概数調査の推移

  


東京のホームレス数は減ったのか?

東京都による2001年2月の都内路上生活者概数調査が出る。
都内5074名を検証する。
笠井和明(連絡会NEWS 23号より)

 東京都による路上生活者数概数調査の今年2月分の報告書を入手した。
 これまで私達運動団体も含めマスコミなどではホームレスは急増していると言われて来ていたが、この間の概数調査数を見ると、1999年(平成11年)8月調査の5798名をピークとして、以降それ以上の数の急増は見受けられない。もちろん急減している訳ではなく、客観的に見れば「横ばい」、「微弱」と表現すべきではなかろうか。対策との関連で言えば「99年以降、都区の対策は一定程度前進したが、ホームレスを激減させる程には至っていない」と言うこととなる。
 東京都による概数調査には様々な批判がある。本当の実数が反映されているかと言えば必ずしもそうではない事は行政も「概数」と表記するよう認識しているようである。その点を差し引いても私達としては実際の「ありのままの」野宿者実数はこの調査数に最大20%を加えた程度ではないかと推測をしている(99年「政策提言1-1」参照)。そして、この東京都調査も同一条件のもと行なわれている定期的な(唯一の)調査として少なくとも全体傾向を把握できる指標であると考えている。
 2月調査が8月調査より少ない数を常に記録するのは、越冬対策が実施されている点と、冬は野宿者が夏に比して目に見えにくいからであるが、本年2月調査は明らかに減少傾向にある。その要因を分析するほど質的な調査がある訳ではないが、ここ1.2年の活動の現場感覚で言えば「そんなに急増はしていない」というのが共通の認識(パトロール調査と炊出し数の変遷などをもとにした)であり、3年前の急増傾向は停まったと考えられるのではなかろうか。
 「横ばい」か「減少傾向」かは今年8月調査ではっきりするだろうが、私達支援団体にとって、また対策を実施する行政にとっては「急増状態」が一段落したのは喜ばしき事である。支援活動や行政対策が一定程度効力が発揮できたと思うからだ。願わくば「減少傾向」に転じてもらいたものだが、野宿にならなくても済むセイフティネットが完備されていないこの都市では、景気動向や産業構造動向によって概数がまた劇的に変動する可能性も消えない。
 野宿者予備軍を含むホームレス(安定した住居を持たない貧しき民)数の調査が行政もまた学者からも何らされていないのが情けない限りである。現場感覚では、確かに全体数は増えてはいないが、新たに野宿になる人々は確実に増えている。つまり、いくら行政やNGOが自立を支援して路上から脱する人々が増えたとしても、その分新たに野宿に至る人々の層が間違いなくあるいう事である。
 自立支援策はホームレスにならなくて済む政策とセットでなければならないと言う事である。それなくば永遠のイタチごっこである事もこの調査は確認出来る。