都区は「自立支援事業実施要綱」を緊急一時保護センター開設に伴い以下の通り改定しました。

路上生活者自立支援事業実施要綱

                平成12年 6月26日特別区厚生部長会決定
                平成13年 6月21日特別区厚生部長会改正
(目 的)
第1 この要綱は、路上生活者対策事業実施大綱(以下「大網」という。)に基づき実施する路上生活者自立支援事業(以下「事業」という。)に関し、必要な事項を定める。
(定 義)
第2 この要綱において次の各号にあげる用静は、当該各号の定めるところによる。
 ? 路上生活者:特別区内の道路、公園、河川、駅等の公共の空間で日常の生活を送っている者で、日本国籍を有する者、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第2に該当する者、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号〉に定める法定特別永住者、難民の地位に関する条約〈昭和56年条約第21号)第1条又は難民の地位に関する議定書(昭和57年条約第1号)の規定による難民をいう。
 ? 福祉事務所:社会福祉法(昭和26年法律第45号)に規定する福祉に関する事務所をいう。
 ? 路上生活者自立支援センター(以下「自立支援センター」という。):事業を行う場所又は施設をいう。
 ? 路上生活者対策事業運営協議会(以下「事業運営協議会」という。):大綱第8に基づき、自立支援センターの管理及び事業の運営を円滑に行うため設置する協議会をいう。
 ? 施設長:自立支援センターの管理運営責任者をいう。
 ? 運営主体:この要綱に基づき事業を受託した者をいう。
く事業の実施)
第3 この事業は、東京都と特別区が共同で実施する。
(事業の区分及び役割分担)
第4 この事業の区分及び役割分担は次による。
 利用承諾、宿泊援護及び生活相談は特別区が行い、職業相談及び住宅相談は東京都が行う。
2 施設建設については、基本的には当該区と協議し、東京都が行う。
3 施設の管理は特別区が行うものとし、特別区人事・厚生事務組合(以下「特人厚」という。)が共同処理する。
4 東京都及び特別区は、事業及び自立支援センターの運営管理の全部又は一部を、東京都、特別区又は社会福祉法人等に委託できるものとする。なお、宿泊援護及び生活相談は、特人厚において特別区の事務の共同処理をするものとし、その場合、特人厚はその運営を社会福祉法人等に委託できるものとする。
5 宿泊援護、生活相談、職業相談及び住宅相談は、同一の場所で実施することを原則とする。ただし、事業運営協議会が認める場合、その一部を別の場所で実施することができる。
(事業内容)
第5 この事業は次に掲げる支援を行う。
? 生活、健康、職業、住宅等の相談
? 生活、健康、職業、住宅等に関する必要な指導
? 宿泊及び食事、入浴、衣類等の提供
? 利用者の就労にあたって必要な支援であって、東京都と特別区が必要と認める相談、指導及び支援等
? 前各号に掲げるもののほか、東京都と特別区が必要と認める支援
(自立プログラム)
第6 利用者が、自らの意志と行動により就労することによって、地域において安定した生活を営むことができるよう、自立プログラムを作成する。自立プログラムは、福祉事務所長と連携しながら、施設長が利用者と共同で作成する。
(事業への協力等)
第7 要綱第5各号の支援を行うにあたって、運営主体は福祉事務所、保健所、公共職業安定所及び協力医療機関等の関係機関と連絡を密にしながら進めるものとする。
2 前項の関係機関は、運営主体の行う支援に、十分協力するものとする。
(利用対象者)
第8 この事業の利用対象者は、原則として大綱第3?に規定する路上生活者緊急一時保護事業の利用者で、勤労意欲があり、かつ心身の状態が就労に支障がないと認められる者とする。
(利用期間)
第9 利用者が事業を利用できる期間は、原則として2か月以内とする。ただし、現に就労活動を行っており、就労の可能性がある者については、1か月に限り利用を延長することができる。
2 前項の規定にかかわらず、現に就労している者で、直ちに居住場所の確保が困難な者については、必要な期間利用を延長することができる。ただし、おおむね1か月程度とする。
3 利用承諾期間の延長については、施設長の意見を参考に福祉事務所長が決定する。
(利用の手続き)
第10 この事業を利用しようとする者は、所管の福祉事務所長に、事業利用申し込みをしなければならない。
2 事業利用申し込みを受けた福祉事務所長は、当該利用申込者について状況を調査し、次の各号に該当すると認める場合のほかは利用を承諾するものとする。
 ? 就労意欲、健康状態等大綱第3?で掲げる事業目的を達成するについて、不適当と認められるとき
 ? 生活保護法(昭和25年法律第144号)に基づく生活保護に該当すると認められるとき
 ? 自立支援センターの利用定員に達しているとき
 ? 当該申込者が利用することによって、他の利用者に著しい迷惑を及ぼす恐れがあると認められるとき
 ? その他、事業の運営上特に支障があると認められるとき
(利用承諾の解除)
第11 福祉事務所長は、要綱第9に規定する利用期間が終了したとき、利用の承諾を解除する。また、次の各号のいずれかに該当する利用者について、利用の承諾の解除をすることができる。
 ? 就労による自立の可能性がないと認められるとき
 ? 長期間の入院等により治療が必要と認められるとき
 ? 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)に定める感染症と認められるとき
 ? 要綱第13に規定する利用者の遵守事項に著しく違反したとき
2 福祉事務所長は、前項の規定により利用の承諾を取り消す場合は、施設長と協議するものとする。
(利用者負担)
第12 この事業は、利用者負担を求めない。
(利用者の遵守事項)
第13 利用者は、次の事項を遵守するものとする。
 ? 地域において安定した生活を営むことができるよう、自立プログラムにそって自立の努力をすること。また、自立プログラムに基づく職員の指導に従うこと
 ? 福祉事務所長及び施設長の指導にしたがい社会復帰に努力すること
 ? 医師等の指示に基づかない薬物を使用しないこと。また、酒類を飲まないこと
 ? 無断で外出又は外泊したり、施設内に部外者を立ち入らせないこと
 ? けんか口論をしないこと
 ? 施設内にみだりに印刷物を掲示しないこと
 ? 施設内に危険物を持ち込まないこと
 ? 施設内の設備や物を壊したり、施設外に持ち出さないこと
 ? 指定された場所以外で、火気を使用しないこと
 ? 金銭の貸借をしないこと
 ? 浪費をつつしみ、賭け事をせず、預貯金に努めること
 ? 共同生活の場の清潔と秩序維持に必要な職員の指示に従うこと
 ? その他、施設長が定める事項を遵守すること
(施設長の責務等)
第14 施設長は、利用の承諾がされた者につき、正当な理由なくその利用を拒んではならない。
2 施設長は、常に、利用者の就労による自立を支援するよう努めなければならない。
3 施設長は、就労状況等利用者の自立に向けての取り組み状況を常に把握し、福祉事務所長に報告しなければならない。
4 施設長は、必要に応じて、利用者について、福祉事務所職員の参加を得たケース会議を開くことができる。
5 施設長は、利用者について、要綱第11の各号に該当する事由が生じたと認めるときは、速やかに福祉事務所長に報告するとともに、利用承諾の解除を求めることができる。
(運 営)
第15 運営主体は、本事業を実施するにあたって、善良な管理者としての義務を有し、施設の適正な管理に努めるとともに、施設の機能維持に必要な修繕及び法令に定める点検業務などの責務を負う。
2 運営主体は、本事業を実施するにあたって、相談記録のほか利用者に関する台帳及び経理に関する帳簿等必要な書類を備えなければならない。
3 運営主体は、毎月及び事業終了時、事業の運営に関して、速やかに事業運営協議会に報告するものとする。
(会 計)
第16 運営主体は、本事業を実施する特別の会計(以下「会計」という。)を設けなければならない。
2 会計は、管理費と事業費とで構成する。
3 管理費は人件費、施設管理費、建物のリース料等とし、事業費は利用者処遇費等とする。
4 会計年度は、4月1日に始まり、3月31日をもって終了する。
(職 員)
第I7 自立支援センターに、次の職員を置く。
 施設長、事務員、生活相談指導員、職業相談員、医師、看護婦その他必要と認められる職員ただし、生活相談指導員、職業相談員、医師、看護婦その他必要と認められる職員は、非常勤とすることができる。
2 前項の規定は、事業運営協議会が認める場合は、その一部を変更することができる。
3 職員の配置基準は、事業運営協議会が協議のうえ、別途定める。
(設 備)
第18 自立支援センターは、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に規定する耐火建築物又は同条第9号の3に規定する準耐火建築物とする。ただし、東京都と特別区が認める場合は、この限りではない。
2 自立支援センターは、日照、採光、換気等利用者の保健衛生及び防火について十分配慮したものとする。
3 自立支援センターには、次の各号の設備を設けるものとする。ただし、事業運営協議会が認める場合は、その一部を変更することができる。
 ? 居室
 ? 相談室
 ? 医務室
 ? 娯楽室
 ? 食堂及び厨房
 ? 浴室
 ? 便所
 ? 洗面所
 ? 事務室
 ? 会議室
 ? 宿直室
 ? その他事業の実施に必要な設備
(利用定員)
第19 自立支援センターの利用定員は、おおむね50人以上とする。ただし、事業運営協議会が認める場合は、他の定員で実施することができる。
(東京都及び特別区の支弁)
第20 東京都及び特別区は、本事業の運営に要する費用のうち、管理費を年度当初に支弁する。ただし、年度中途に事業を開姑した場合は事業開始時とする。
(費用の分担)
第21 自立支援センターの設置及び事業の運営に要する費用は、国庫補助額を除いた額について、東京都と特別区でそれぞれ2分の1を負担する。ただし、費用には施設開設に伴う諸経費を含むものとする。
2 特別区間の費用負担は均等とする。
(事業運営協議会)
第22 自立支援センターの管理及び事業の実施を円滑に行うため、事業運営協議会を置く。事業運営協議会は、必要に応じて、運営主体等を参加させることができる。
2 事業運営協議会は、定期的に事業実施の評価を行い、東京都及び特別区に報告するものとする。
(委 任)
第23 この要綱に定めるもののほか、この要綱に必要な事項は、別に定めることができる。

付 則
1 この要綱は、平成12年6月26日から施行する。
2 この要綱は、平成13年8月 1日から施行する。