12月5日衆議院厚生労働委員会で民主党が提出していた「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」の提出理由説明が鍵田節哉議員からありました。が、与党の反対により審議入りは出来ず、結局法案の取り扱いは「継続審議」と決定されました。
与党三党の調整がつかず臨時国会中に「決着」しなかった最大の原因は公明党の党利党略による「反対」があったと報じられています。与野党も関係ない野宿に至った人々の人権を守る法案がこのように推移してしまった事は誠に残念でなりません。
私達は、今後、1月の通常国会中の成立を求めて行く事となります。
「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」の提案理由説明

 ただいま議題となりました「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法
案」につきまして、その提案理由及び内容の概要についてご説明申し上げます。
 平成11年10月末の厚生省の調査によれば我が国には約2万人のホームレスがお
り、今日では3万人を超えているとの推計もあります。東京都が行ったホームレ
スに関する実態調査によりますと、ホームレスの7割が求職活動をしており、ま
た、ホームレスの6割はかつて安定的な就労をしていた人であります。まじめに
働いてきた人々も職を失ってホームレスになることを余儀なくされている姿が、
かいま見えるといえましょう。
 現在の厳しい経済情勢の下、戦後最悪の5.4%という失業率と相俟ってホーム
レスの数は今後も増加傾向が続くと思われます。食事の確保もままならない長期
の路上生活により、多くのホームレスが心身とも疲弊しております。冬の訪れ間
近に控え、東京でさえ例年氷点下を記録する凍てつく寒さの中で、路上において
貴重な命が失われていく現実はとうてい看過できるものではありません。ホーム
レスの自立支援を目的とするNPOも近年、各地域において積極的な活動を行って
おりますが、これらのNPOの活動に対する公的な支援は残念ながら不十分な状況
です。早急に国等の果たすべき責務を明らかにするともに、必要な施策を講じる
ことにより、ホームレスに関する問題の解決を図るべきと確信いたします。以上
が、本法律案を提案するに至った理由であります。
 次に、本法案の概要についてご説明申し上げます。

 第一に、この法律にいうホームレスでありますが、典型的なホームレスである
野宿生活者とともに、金銭の余裕がある場合にはいわゆるドヤで寝泊まりしている
ような典型的なホームレスに準ずる者もホームレスに含めることとし、この法律
の対象としております。
 第二に、この法律による施策の目標として、1.就業の機会の確保、居住の場所
の確保並びに保健及び医療の確保といった自立の支援のための施策によるホーム
レスの自立、2.生活上の支援による新たなホームレスの発生の防止、3、緊急に行
うべき援助、生活保護法による保護の実施、地域における生活環境の改善及び安
全の確保等によるホームレスに関する問題の解決、を掲げております。
 第三に、国び地方公共団体に、ホームレスの自立の支援等に関する施策の策定
及び実施の義務を課するとともに、ホームレス自身も自らの自立に努めるものと
しております。
 第四に、厚生労働大臣及び国土交通大臣はホームレスの自立の支援等に関す
る基本方針を、都道府県及び指定市町村は基本方針に即した実行を、それぞれ策
定しなければならないこととしております。
 第五に、国は、ホームレスの自立の支援等に関する施策を実行するため、その
区域内にホ一ムレスが多数存在する地方公共団体及びホームレスの自立の支援等
を行う民間団体を支援するための財政上の措置その他必要な措置を講じなけばな
らないこととしております。
 その他、国の協力、民間団体の能力の活用、国及び地方公共団体の連携、ホー
ムレスの実態に関する全国調査について定めております。
 第六に、この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政
令で定める日から施行することとしております、また、現下のホームレスの増加
状況は特異な事態であるとの認識の下、平成二十年三月三十一日までの時限立法
としております。
 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。本法案の如き日
本国憲法で保障された基本的人権の尊重と密接不可分なものについては、与野党
の別はありません。私自身、各党各会派の議員各位がかねてよりホームレス問題
に熱心な取組を行ってきたことを承知しており、心からの連帯と敬意の念を表し
てきたところです。何とぞ慎重御審議の上、一日も早く各党のご賛同を得てホー
ムレスの自立支援を眼目とした特別立法の成立が図られますことを切に御願い申
し上げます。