連絡会、春の都庁行動開始

 新宿連絡会、池袋連絡会の合同部隊150名が一年ぶりに都庁前に集まり、自立支援事業の改善を求める座り込み、集会、情宣活動を行いました。冬を乗り越えた仲間達は元気良く都庁に「屋根と仕事を!」の声を高らかにあげました。
 これに先立ち、「要望書」を9日に都庁に提出。18日から本格的な交渉に入ります。

(当日のチラシより)

路上生活者対策の拡大、拡充を!
昨年度から予定していた自立支援センター渋谷寮の設置、生活訓練ホームの設置はどうした?リピーター問題の解決はどうした?就労支援強化はどうした?

 私たちは都内各地で野宿者を支援している当事者を軸とする支援団体です。
 昨年7月、新宿や大阪など全国の野宿の仲間が声を出し要望し続けた結果、国会の場において、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(10年間の時限立法)が全会派一致で制定されました。そして、本年、この法律に基づく「全国実態調査」が行われ、その結果が先日発表されました。
 この報告書によれば、全国で野宿生活を余儀なくされている人々は約2万5千人。平均年齢が55.9歳。「仕事が減った」「会社が倒産した」「病気、怪我で仕事が出来なくなった」と云う経済的な理由で野宿に至ってしまった仲間は87%を越えています。そして、野宿を余儀なくされている仲間の半数近くが「身体の不調」を訴え、また半数近い仲間が「きちんと就職して働きたい」と答えています。
 これらの公式の調査を見ても、ホームレスとは、「怠け者」の集まりでは決してなく、社会経済的な要因によって社会の下積みで働き続けて来た人々が、失業など突発的な出来事などで困窮の度合いを増し、かつ、行政や地域などのセーフティネットから漏れ、住居を失い、他の選択肢がない中で野宿をせざるを得ない生活環境まで落とし込められたと云う状態が明らかになっています。
 つまり、私たちの社会は、本人に責がない様々な「不幸」の結果、野宿生活を余儀なくされた人々を今日こんなにも多く抱え込んでしまっていると云う事であり、私たちの社会が健全な社会ならば、一刻も早くこれらの人々に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しなければならない、時期に来ていると考えます。
 私たちは、健康を害した仲間に「適切な医療提供と、治療が済むまでの適切な生活保護適用」。就職を希望する者には「短期の間、連絡先や住所が置けるようにし、就労準備、就労活動のための支援を集中すること」を東京都や特別区に9年来求めてきました。
 私たちは野宿の仲間の一生を面倒みろと云う無茶苦茶な要求をしている訳ではありません。自立生活が出来るよう、もう一度やり直せるよう、そのための「きっかけ」を作るよう求めてきました。野宿の仲間も自尊心を持った人間です。そして決して無能な者達の集団ではありません。様々に培って来た能力を生かせるよう、野宿からはい上がろうとする意欲を支えるような「踏み台」を用意してもらいたいと主張して来ました。
 東京都と特別区は、私たちの声を一定聞き入れ、99年から自立支援センターと云う就労支援のため短期宿泊できる施設を設置しました。そして、ステップアップ方式の施設増設計画を01年に「ホームレス白書」と共に発表、今日、この方針に基づき路上生活者対策を推進しています。
 けれども現状を鑑みると、「まだまだ」東京都、特別区に頑張ってもらわなければなりません。私たちは現状の施策では満足をしていません。拡大、拡充をもっと本腰を入れていれない限り、東京における野宿者の「解決」の道程は大きく前進しないと考えます。
 たとえば、自立支援センターの入所枠の数が圧倒的に少ない。新宿区では先日、自立支援事業施設への入所受付が行われましたが、24名の枠に111名が集まり、大半の人は入所を希望しても入れない状態です。しかも、一昨年から計画されている自立支援センター渋谷寮が未だ未実施である等、肝心の施設増設計画が遅れています。
 もちろん無限に施設は増設できないでしょうが、しかし予算も付け、計画した事業ぐらいは早期に行うべきです。
 また、現在、自立支援センターへの利用は一人一回までと「内規」で決っており、意図的に門戸を狭めているように見受けられます.生活保護などは「困窮の状態」に応じて何回でも受給はできることとなっています。この種の施策で一人一回しか支援を受けられないと云う制限的な施策は聞いた事がありません。
 あらゆる(本人に責のない)「失敗」に対応しない自立支援事業なら「エリート」しかはい上がれない、狭い自立支援事業になってしまうのではないかと、私たちは危惧をしています。
 また、法律に基づき、国会で予算が確定した新年度の技能講習制度などの新規事業についても、年度が変った今でも、東京都と特別区は「東京における実施については検討中」のままです。
 このように、まだまだ東京都の自立支援事業、路上生活者対策は課題が多いのです。私たちは東京都、特別区のこれまでの努力については評価しながら、「ここまで出来たのだから、もっと対策を前進させられるだろう」と先日9日に東京都福祉局等に「要望書」を提出し自立支援事業改善への意欲を示すよう迫っています。路上の仲間も「もっと改善をさせ、使い易い施策にしよう」とたたかっています。
 厚生労働省も、先の実態調査結果に基づき、6月までに初の「基本方針」を策定すると言われています。もちろん、私たちも国に対しても声を挙げ、要望を出していますが、肝心の東京都の姿勢が固定化してしまったら、何も動きません。
 路上生活者対策の拡充を求め、私たちはこの春も高らかに声をあげ続けていきます。5月1日には、9回目となる、全都の野宿者によるメーデー集会、デモ、交渉も予定されています。
 野宿者が置かれている環境と、野宿者の要望を是非とも知って頂きたいと思います。
 私たちの取り組みへのご支援、ご注目をお願い致します。