第10回新宿夏まつり800名が集まり大盛況
 去る 8月9-10日、新宿中央公園で野宿の仲間のまつり、第10回新宿夏まつりが開催されました。
 「嵐を呼ぶ夏まつり」の異名を持つだけに、今年も台風10号が日本上陸。その余波で前日からの準備部隊は今年もびしょ濡れでありましたが、幸いにして 9日夜からは小雨になり、予定通り前夜祭から開催。雨模様にも係わらず 200名近くの仲間が前夜祭に参加。この一年亡くなった仲間の氏名が列記された祭壇の前で追悼会。顏見知りの仲間、そうでない仲間、でも同じ路上で苦楽を共にしてきた同じ仲間であること間違いなし。独りで逝ってしまった仲間の新盆に「決して俺たちゃ独りじゃない」との思いで多くの仲間が線香を焚く。そして死んだ仲間も生きている仲間も共に歌い、踊ろうとカラオケの音に輪が出来、小雨模様の中、そうめんを喰らい、焼酎を飲み恒例のカラオケ大会で夏まつりがスタートした。
 翌日は台風一過の真夏の好天。第10回を記念してデリバリーしたお風呂カーが中央公園に颯爽と登場。そして一風呂浴びたいと云う仲間が長蛇の列。電力不足も何のその、ぬるま湯お風呂に仲間が汗を流す。
 昼からは、かつて理髪店でバリバリ働いていたプロの床屋さん仲間も一年ぶりに登場。バッサバッサと仲間の髪を寸分たがわぬ手運びで整える。そして新企画、履歴書用写真の無料撮影隊も最新機材を搬入させ、青空 DPE店を開業。風呂浴び、髪を整えた男前の仲間達をパシャリパシャリと撮影し、その場で履歴書と一緒に写真をプレゼント。
 実用的な企画が終ると、運動会のテーマソングが会場に鳴り響き、ゲーム大会の始まり、始まり。輪投げ、ボーリング、風船割りと、ガキの遊びに大人たちがはしゃぎまわる。しばし子供に戻った後は、これまた恒例のスイカ割大会。冷夏のため売れ残ったスイカがどさりとカンパ。目隠しされ、くるくる回された仲間が次から次へとチャレンジ。これでもか、これでもかとスイカを割りまくる。これぞ仲間の暴力性の発露。スイカは憎っき石原か、小泉か?
 そんなこんなしている中、裏方で一生懸命働いていたのが、1000人分の特製弁当製作隊。総勢30名の仲間を中心にしたボランティア部隊は、山谷での飯炊きを終え、中央公園で肉切り、野菜切り、味付け、パック詰めと汗だくになって動き回る。これまでの弁当、「夏まつり特製弁当」と名乗りながら「なんだ、いつもと変らんじゃないか」と云われ続けて来た。そこで一念発起。全部食われても記憶に残る弁当をと、肉あり、サラダあり、添え物ありの「完全弁当」を総力戦で製作。これぞ「特製弁当」をついに達成した。
 日も沈む頃、特製弁当と、ウーロン杯を一人ひとり配る。その数、700を越え、800近くに。
 飯を喰い、酒を呑み呑み、メインステージは、仲間のカラオケで盛り上がる。そして、ホワイトカカオの皆さんと五十嵐正史とソウルブラザーズの皆さんの登場。しっとりとした童謡、味のある演歌、オリジナルソング、そして祭り特有の何が何だか分からない「のってけ音頭」で拍手の大洪水。最後にゃ仲間十数人しゃしゃり出てステージの前で踊り出す始末。誰だ、「日本のホームレスは大人しい」なんて評論している奴は!
 そして、最後は、盛り上がった雰囲気のまま盆踊り。誰一人、正式な踊りなど知りゃ知らんし、もう忘れた。それでも、でたらめ手足を出して、東京音頭と炭坑節。太鼓もはちゃめちゃ、もうどうでもよろし。これが新宿夏まつり。お盆で帰って来た仲間もさぞかし頭を抱え、それでも微笑んでくれただろう。

 雨あり、晴れあり、嵐あり、笑いあり、喧嘩あり、希望あり、絶望あり、自立あり、自立なし!新宿路上はとにかく生きています!

 ご協力下さった総ての皆さんに感謝!感謝!
 

                    第10回新宿夏まつり実行委員会