地域生活移行支援事業の推移

 新宿区内、戸山公園、中央公園で実施されている「ホームレス地域生活移行支援事業」は既にアパート移行と「臨時就労」も始まり、本格的な稼働へと動き出しています。
 6月の「説明会」を受け7月の「一次面接(アンケート)」、戸山、中央公園での相談ブースの設置、そして「二次面談」からアパートの選定、臨時就労説明会、アパートへの移行、臨時就労での生活の下支えと、これまで入り口部分で想定される全ての事業が始まり、順次の移行が両公園で開始されています。
 当初、アパート確保準備が若干遅れ、その部分の危惧などもありましたが、9月初頭の一次移行からは希望に即した物件が確保され始めています。現状では希望(仕事の都合など)により新宿区内の物件に移行する者が多く、生活圏を破壊されずにとりあえず2年間の定額の住み家を確保しています。アパート問題では2年後の更新問題が未だ明確化されていない点が不安として出されていますが、この件については「新宿連絡会・やねの会」を結成し、事業利用者全体での交渉課題として設定していく予定です。
 また、就労支援も「臨時就労」が9月から、都立公園の「清掃業務」として開始され、順次量も多くなる予定です。日当約8000〜9000円の単純肉体労働ですが、当面の生活を補助する就労として機能しています。平均すれば一人月7-8日の就労日数になる予定ですが、その割当も、現に収入が少ない者は多く、また現に収入がある者は少なくと就労支援団体が噛むことにより、うまくワークシェアーされております。臨時就労問題では半年間の期間限定であることが危惧されていますが、既に「再就職支援セミナー」が開始され、また求人開拓も開始され、臨時就労後の就労についての模索が始まっています。
 半年後、「再就職支援」を試みた上でも「臨時就労」でしか生活を維持できない人々に対しどのような施策が必要かは、直近の課題となるでしょう。もちろんこれもまた「新宿連絡会・やねの会」の大きな交渉課題です。  更に一部で懸念されていた「無理やり事業に追いやる」すなわち排除的な手法は両公園で当然ながら取られておらず、事業に参加しない仲間もいます。両公園で最終的にどのくらいの利用者が出るかは未だ全体像がはっきりしませんが、移行終了後の両公園の「棲み分け問題」もこれからの現場的な課題となります。

 いずれにせよ、アパート移行した者の再路上を防ぐ事が、今後の私たちの大きな課題です。事業の推移を見守りながら事業利用者を物心共に支える活動にもまい進していきたいと思います。