民主党はワーキングチームによる「ホームレス自立支援立法」を6月12日党の上程立法として正式に決定。
続く14日午後、衆議院に上程すると同時に記者会見を開き、法案を公に発表しました。会期末が迫り今国会の審議がどこまでできるのかが注目されます。が、「痛みを伴う構造改革」を掲げる小泉政権がどこまで社会にセーフティネットを構築する気があるのかを問う重要な法案です。この情勢を受け、連絡会は15日から早期成立を求めるキャンペーン活動を開始し、19日の院内集会などを継続し、成立の日まで国会闘争を続けて行くことを改めて決定しました。
国は野宿者に責任を取れ!
「ホームレス自立支援立法」を国会で通そう!

「ホームレス自立支援法」の
早期成立を求める緊急集会

6月19日(火)
午前10時−11時半
衆議院第一議員会館第一会議室
呼びかけ:新宿連絡会

ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案(全文)

ホームレスの自立の支援策等に関する臨時措置法案

目次
第一章 総則(第一条ー第三条)
第二章 国等の責務等(第四条ー第九条)
第三章 基本方針及び実行計画(第十条・第十一条)
第四章 財政上の措置等(第十二条・弟十三条)
附則

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、自立の意思がありながらホームレスとなること
    を余儀なくされた者が多数存在し、健康で文化的な生活を送
    ることができない現状にあることにかんがみ、ホームレスの
    自立の支援、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれ
    のある者に対する生活上の支援等に関し、国等の果たすべき
    責務を明らかにするとともに、必要な施策を講ずることによ
    り、ホームレスに関する問題の解決に資することを目的とす
    る。

(定義)
第二条 この法律において「ホームレス」とは、野宿生活者その他安
    定した居住の場所を有しない者であってこれに準じるものを
    いう。

(ホームレスに関する施策の目標)
第三条 ホームレスに関する施策は、次に掲げる目標に従って推進さ
   れなければならない。
一 自立の意思があるホームレスに対し、安定した雇用の確保、職業
  能力開発その他の方法による就業の機会の確保、公営住宅の供給、
  民間の賃貸住宅への入居の支援その他の方法による安定した居住
  の場所の確保並びに健康診断、医療の提供等による保健及び医療
  の確保に関する施策を実施することにより、これらの者を自立さ
  せること。
二 ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者に対し、
  雇用の確保、生活相談その他の生活上の支援を行うことにより、
  これらの者がホームレスとなることを防止すること。
三 前二号に定めるもののほか、宿泊場所の一時的な提供、日常生活
  の需要を満たすために必要な物品の支給その他の緊急に行うべき
  援助、生活保護法による保護の実施、国民への啓発活動等による
  ホームレスの人権の擁護、地域における生活環境の改善及び安全
  の確保等により、ホームレスに関する問題の解決を図ること。

第二章 国等の責務等
(国の責務)
第四条 国は、前条各号に掲げる事項につき、総合的な施策を策定し、
    及びこれを実施するものとする。

(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、第三条各号に掲げる事項につき、当該
    地方公共団体におけるホームレスに関する問題の実情に
    応じた施策を策定し、及びこれを実施するものとする。

(ホームレスの自立への努力)
第六条 ホームレスは、その自立を支援するための国及び地方公
    共団体の施策を活用すること等により、自らの自立に努
    めるものとする。

(国民の協力)
第七条 国民は、ホームレスに関する問題について理解を深める
    とともに、地域社会において、国及び地方公共団体が実
    施する施策に協力すること等により、ホームレスの自立
    の支援等に努めるものとする。

(民間団体の能力の活用等)
第八条 国及び地方公共団体は、ホームレスの自立の支援等に関
    する施策を実施するに当たっては、ホームレスの自立の
    支援等について民間団体が果たしている役割の重要性に
    留意し、これらの団体との緊密な連携の確保に努めると
    ともに、その能力の積極的な活用を図るものとする。

(国及び地方公共団体の連携)
第九条 国及び地方公共団体は、ホームレスの自立の支援等に関
    する施策を実施するに当たっては、相互の緊密な連携の
    確保に努めるものとする。

第三章 基本方針及び実行計画
(基本方針)
第十条 厚生労働大臣及び国土交通大臣は、策十三条の規定によ
    る全国調査を踏まえ、ホームレスの自立の支援等に関す
    る基本方針(以下「基本方針」という。)を策定しなければ
    ならない。

2 基本方針は、次に掲げる事項について策定されるものとする。

一 ホームレスの就業の機会の確保、居住の場所の確保並びに保
  健及び医療の確保に関する事項
ニ ホームレス自立支援事業(ホームレスに対し一定期間宿泊場所
  を提供した上、健康診断、身元の確認並びに生活相談及び生
  活指導を行うとともに、就業の相談及びあっせん等を行うこ
  とにより、その自立を支援する事業をいう。以下同じ。)
  その他のホームレスの個々の事情に対応して総合的な支援を
  行うことによりその自立を支援する事業の実施に関する事項
三 ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者に対
  する生活上の支援に関する事項
四 ホームレスの自立の支援等を行う民間団体との連携に関する
  事項
五 ホームレスに対し緊急に行うべき援助に関する事項、生活保
  護法による保護の実施に関する事項、ホームレスの人権の擁護に
  関する事項、地域における生活環境の改善及び安全の確保に関す
  る事項その他ホームレスに関する問題について実施すべき施策に
  関する基本的事項

3 厚生労働大臣及び国土交通大臣は、基本方針を作成しようとする
  ときは、総務大臣及び法務大臣その他関係行政機関の長と協議し
  なければならない。

(実行計画)
第十一条 都道府県は、基本方針に即し、ホームレスの自立の支援等
     に関する施策を実行するための計画(以下「実行計画」という。)
     を策定しなければならない。
2 地方自治法ー昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九
  第一項の指定都市及び特別区並びにその区域内にホームレスが多
  数存在する市町村として厚生労働大臣及ぴ国土交通大臣が指定す
  る市町村は、基本方針及び実行計画に即し、ホームレスの自立の
  支援等に関する施策を実行するための計画を策定しなければなら
  ない。
3 地方公共団体は、実行計画を策定するに当たっては、地域住民及
  ぴホームレスの自立の支援等を行う民間団体の意見を反映させる
  よう努めるものとする。

第四章 財政上の措置等
(財政上の措置等)
第十二条 国は、ホームレスの自立の支援等に関する施策を実行する
    ため、その区域内にホームレスが多数存在する地方公共団体
    及びホームレスの自立の支援等を行う民間団体を支援するた
    めの財政上の措置その他必要な措置を講じなければならない。

(ホーレスの実態に関する全国調査)
第十三条 国は、ホームレスの自立の支援等に関する施策の策定及び
    実施に資するため、ホームレスの実態に関する全国調査を行
    わなければならない。

附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月以内において政令で
    定める日から施行する。
(この法律の失効)
第二条 この法律は、平成二十年三月三十一日限り、その効力を失う。

理由
 自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が
多数存在し、健康で文化的な生活を送ることができない現状にあること
にかんがみ、ホームレスに関する問題の解決に資するため、ホームレス
の自立の支援、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者
に対する生活上の支援等に関し、国等の果たすべき責務を明らかにする
とともに、必要な施策を講ずる必要がある。
これが、この法律案を提出する理由である。


(新宿連絡会国会キャンペーンチラシより)

政府ー中央省庁は野宿者を放置し増やし続けてきた事の責任を取れ!
早急なる自立のための政策を!
ホームレス自立支援立法の早期成立を!
ー貧しくともやり直しのできる社会を!ー


 私達は東京・新宿、豊島などの地において、野宿を余儀なくされた人々、日雇労働者、雑業者、生活保護受給者など、社会の底辺で呻吟を続ける人々の諸権利、生活の改善向上を求めたたかっている団体です。

 労働厚生省の調査においても、野宿者数は今や全国で2万人を突破しています。東京を始め、横浜、大坂などの大都市、そして新潟や仙台などの地方都市においても、野宿を余儀なくされた人々がビルの合間や河川敷、公園などで
暮しているのが見受けられます。
 「ホームレス」という言葉は10年前には日本ではほとんど使われていなかった言葉です。それが今や日常会話の中で自然に発せられる言葉となり、マスコミなどでも実態や窮状が頻繁に報じられています。
 東京においても、都区の「対策」の一定程度の前進によってここの所、急増はしていないものの、それにしても6年前から比較すると、およそ70%は増加をしています。
 野宿を余儀なくされている人々は、それぞれ自らの力を振り絞って雑業、日雇仕事に従事したり、生活の知恵を働かせながら貧しき仲間の助け合いにより、ギリギリの生活を営んでいます。けれど、衣食住に事足りぬ最低限度以下の生活を余儀なくされている中で、窮状は日々悪化し続けています。
 たとえば健康問題一つとってみても、昨年度新宿区内だけで野宿者の救急搬送は1122件、一日平均3名が急病で倒れています。その内、137名もの人が入院をしなければならぬ程の重病でした。
 職を失い、住居を失い、路上生活を余儀なくされた時、「健康で文化的な最低限度の生活」以下の生活を強いられ、けれども「住所不定」故に、様々な行政サービスから最も遠ざけられた存在にされ、社会の偏見、差別にさらされる存在にさせられてしまいます。もう一度やり直したいと望めど、その道程は過酷で険しすぎます。心身ボロボロになり、倒れ二度と立ち上がれなくなった人々は数え切れないほどいます。
 私達は、野宿を余儀なくされた人々の実態調査、アンケートを独自に行い続け、また、それぞれの要望に基づく政策提言を数多く行政に提起し、様々な官庁との交渉を続けてきました。
 私達はホームレス問題を社会経済的要因によって(裏へ)発生した社会問題として認識し、その社会的な解決のため単に金をばらまくだけの救済策ではなく、また、一時凌ぎの施策でもなく、窮乏に陥っている人々がもう一度市民社会の中でやり直しができる政策として、野宿を余儀なくされた人々の就労意欲を積極的に生かしていけるような支援策を求めつづけてきました。
 東京においては、就労自立を支援していく「自立支援センター」が昨年秋から開設され、この手法での成果を著しくあげています。また、今年中に大規模シェルターやグループホーム事業などの新規事業が開始される予定です。
 東京都は本年3月全国で初の「ホームレス白書」を発表し、本腰を入れた対策を行うとようやく宣言しましたが、まだまだ全体数からする対策の規模は少なく、「自立支援センター」も希望しても何ヶ月も待たされる事態が固定化しつつあります。東京都も国の積極的な関与、そして法整備を求めているよう、一地方自治体の力量ではホームレス対策はかなりの限界に来ています。
 とりわけ雇用対策、ホームレスになることを予防するセーフティネット作りは、国が責任をもってやるべき仕事です。
 私達は昨年秋から「国は責任を持ってホームレス対策をしろ!」と、全都の仲間、全国の支援団体と共に声を出し続けてきました。
 そして、ようやくこの声は「ホームレス自立支援立法」という形で実現されようとしています。
 この度、民主党のプロジェクトチームが議員立法としてまとめた「ホームレス自立支援立法(案)」は、野宿を余儀なくされ、かつ就労意欲のある人々の就労自立支援策などを国が責任をもって政策として実施する事を義務づけた法案です。また、今現に野宿を余儀なくされている人々だけに対象を限定せず、野宿に至る恐れのある人々も含めて野宿にならなくて済むような防止策を策定しようとするものです。
 私達はこの「ホームレス自立支援立法(案)」を全面的に支持します。
 これまで、福祉事務所など関係官庁では根拠法がないことを理由に野宿者の様々な相談に十分な対応ができていませんでした。また、根拠法がない事により、施設の増設がうまく実現きれませんでした。
 私達は切実な要望として「屋根と仕事」につながる「対策の拡大、拡充」を求めています。今、野宿を余儀なくされている一人ひとりの仲間がもう一度やり直せるチャンスを手にするためにも、自立を支援する事を明記した根拠法が必要なのです。
 仲間一人ひとりの明るい未来を勝ち取るためにも「ホームレス自立支援立法」の早期成立を求める国会行動を開始する事を私達は決定しました。
 「ホームレス自立支援立法(案)」は14日衆議院に上程されました。国会の会期末を控え法案の行方は厳しさが予想されますが、私達は19日の議員会館院内集会を皮切りに、早期成立を求める当事者サイドの声を内外に明らかにし、以降、議員ロビー活動、キャンペーン活動などを通し、審議の過程をしっかりと見守り続けていきます。よもや、社会の矛盾として全国的に注目されているホームレス問題の解決のため、自立を支援していく法案に反対する政党はないとは思いますが、私達は予断を許さず、国会前に陣どり、「成立の日」まで声をあげつづけて行きたいと思います。
 全てのみなさん、この国がホームレスを放置し続けるのか否かが、この「法案」の行方にかかっています。是非とも私達のたたかい、そして国会審議に注目していいただきたいと存じます。