東京都福祉局連絡調整担当部長 殿              2002年 7月3-4日
特別区人事厚生事務組合 厚生部長 殿
路上生活者対策事業運営協議会長 殿

「自立支援センター・墨田寮」の実態に関する意見書


新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議(新宿連絡会)
自立支援センターの改善を求める寮生有志(新宿寮、豊島寮、墨田寮)

連絡先・台東区日本堤1-25-11山谷労働者福祉会館気付
090-3818-3450(笠井)

 緊急一時保護センター・大田寮から自立支援センターへと移転した者の内、とりわけ墨田寮に移転した者から施設管理者に対する不満の声が私たちの所へ多く報告されています。
 この文書は現行の自立支援センター事業全般に関する改善要望という主旨ではありませんが、自立に向けその意欲があるにもかかわらず、混迷する施設運営の中で当惑している寮生の実態を知ってもらいためまとめたものです。
 私たちは各施設が寮生とのいかなる関係を作りあげているのか、とりわけ自立支援センター施設においては、就労自立への各人の意欲を施設内においていかにきめ細かく支援できているのかを注目しています。

 関係各部署は個別の寮管理実態について委託法人にすべてを任せるという事ではなく、寮生の様々な意見に耳を傾け、各センターが寮生の自立のため、統一的かつ適切に運営が行われるよう強く指導して頂くようお願いします。


 
 <自立支援センター・墨田寮の実態についての寮生からの意見>
 


1、墨田寮は施設管理法人と生活相談業務受託法人が別団体である事から様々な矛盾を生じて来ています。

  施設管理法人からは施設管理のために寮長、副寮長が派遣されていますが、寮生の目で見る限りにおいては、施設内の様々な事柄はすべて生活相談業務委託法人に任せ切りではないのかという疑問が残ります。宿直に関しても管理法人が派遣していると思われる(警備の)職員は寝ており、逆に生活相談員が一晩中起きているという光景を幾度となく見ています。また、生活相談員は日々の事務仕事の他、一人当たり約30名を担当しているようですが、寮生が見る限りにおいては、これでは綿密な相談が出来ず、また寮生の生活全般に目が行き届かず限界ではないかと考えます。就職相談員も3名体制で行なっておりますが、じっくりと相談が出来ないとの不満も多くあります。他方、寮長、副寮長は寮生との密接な関係を持とうとせず「ただ座っているだけ」「ハンコを押すだけ」の仕事しかしていないようです。寮生の身になって考えて行く姿勢はとうてい感じられません。生活相談職員の寮生に対する対応が十分ではないのは寮生にとっても好ましいものではありません。寮生からいくら職員に意見を言っても、寮長など上に伝わっていないようで、一向に改善される気配はありません。墨田寮内の飲酒の問題、それを発端とする寮内での「喧嘩」なども、寮長や生活相談員ではもはや対応が出来ず「もみ消されている」感を受けます。これらの被害は、夜眠れないなど、寮生の生活や安全を脅かしています。寮のゴミ置き場にはワンカップの空き瓶、ビール、チューハイの空き缶、が山となって捨てられています。これを横目に見ながら職安に通う寮生の気持も考えて頂きたい。一体、私たちは何のためにこの寮に入ったのかすら時には疑問に感じる日々です。もちろん、寮内飲酒など規則を厳しくしろという意味ではなく、規則を破った者への対応を常識的にやってもらいたいという意味です。これらの点を職員に指摘し続けてますが、この2ヶ月間一向に改善されていません。

2.食事の質が悪すぎます。

 墨田寮の食事は(株)マルコシ、金町店が仕出し弁当を持ってきますが、他の大田寮や自立支援センターと比較しても、質、量とも悪く、かつ油っぽいおかず(揚物)ばかりで、とうてい一食500円(一日1500円)相当のものであるとは考えられません。悪徳弁当屋にぼったくられているという感さえあります。これらの食事に耐えきれずに食費を1500円支給してもらい外食する者も多いのですが、この食費を出すのさえ一部職員は「出ししぶって」います。せめて他の自立支援センター並に食事の質をあげるべきだと考えます。

3.メディア取材はやめて頂きたい。

 6月21日の午後、テレビ朝日の取材陣が寮の内外を映して行き、その様子が6月26日、放送され、寮の外観が「自立支援センター・墨田寮」というテロップと同時に放映された。こういう取材をむやみに許すという事は寮生の自立への大きな影響があると考えざるを得ません。地域住民の中にも賛否両論があり設置された自立支援センターである以上、公に施設を宣伝する事には慎重を記すべきです。悪影響はすべて寮生に降りかかるからです。寮生の中にもこのテレビ放映を見て不愉快に思った人々は大勢います。墨田寮をアパートだと雇用主に説明して一生懸命就職活動をしている身になれば、「もしばれたら」という不安を無闇にかき立てる結果にしかつながりません。この取材を許可した者は寮長なのか、誰なのかわかりませんが、本当に墨田寮の寮生の事を考えていたのかおおいに疑問です。

4.その他

 ハローワークに通うために交通費を支給する際、私たちが提出する「求職交通費申請書」には求職交通費として280円受領したと領収書を書かされる。けれども私たちがもらうのは回数券である。金銭面についてとやかく言うのも何ですが、通常の回数券は11枚組で額面よりも多少安くなっています。それを280円受領したと印鑑を押されるのは多少なりとも疑問を感じます。
 また、これらの金品を受領するには前日の午後7時過ぎに申請をしなければならないとされている。が、それを失念していたなど当日申請する時もあるが、その時の対応は職員によって違うのも疑問です。
 

以上