新宿区における野宿生活状況の人たちへの保健医療活動から見えた現状と課題

新宿連絡会・医療班
 

2003年12月


1.はじめに

 本論の目的は、新宿連絡会・医療班が新宿中央公園および戸山公園で行っている野宿生活状況の人たちへの健康相談会活動を踏まえ、新宿区における彼等の健康問題の現状と課題を整理し、支援のあり方を具体的に提示することにある。その視点は、住まうところもなく食事も満足にとれない極貧の状況にはあるが、彼らも「新宿の地域に生活する一人である」という視点から、生活と健康の支援を考えるものである。

2.新宿連絡会・医療班の保健医療活動

 新宿連絡会・医療班は、1996年3月から午後7時の炊きだしに合わせ新宿中央公園で、そして2001年6月からは、午前中、戸山公園において区内2ヶ所で毎月第2日曜日に健康相談会を行っている。
 メンバーは、整形外科医・内科医・歯科医そして看護師等が参加している。他、鍼灸師による東洋医学に基づいた健康相談も行われている。相談者は毎回平均30〜40人。他に風邪や胃痛・下痢といった軽い症状で薬の提供のみを希望する人もおり、多い時で100人前後にもなる。加えて、毎月1回、重症者の早期発見を目的に、医療関係者も加わり新宿駅を中心に東西南北に分かれ、広域のパトロール(夜回り)および概数のカウントを行っている。

3.新宿中央公園の健康相談会からみた特徴

3-1. 新宿中央公園健康相談会を通して見た野宿生活状況の人たちの健康状態の特徴

 新宿連絡会・医療班は1996年3月から新宿駅西口地下広場において月1回の定期健康相談を開始した。
 1998年2月以降は新宿中央公園に移動し現在まで相談活動を継続している。毎月1回の定期健康相談と越年期の集中的な健康相談を行っており、内容は医師による健康相談と、重症者には福祉を通して医療機関に受診する事を勧め紹介状を渡している。また、野宿者自身に血圧記録カードを渡し定期的な血圧計測、軽症の感冒や腹痛・白癬などに対して市販薬の提供も行っている。現在のところ、市販薬にかかる経費は年間約30万円となっている。
 98年から2002年までの5年間で1486名に対して医師による定期相談を行った。相談時の主訴は感冒が最も多く20%を占め、次いで高血圧が15%腹痛・腰痛がそれぞれ7%であった。その他多いものは腰痛・腹痛・湿疹・関節炎・四肢痛・知覚障害・外傷・白癬などであった。重症のため医療機関で治療した疾患は、高血圧が最も多く18%を占めた。その他多いものは湿疹・胃潰瘍・腰痛・結核・蜂窩織炎・糖尿病であった。相談者の既往歴で多いものは胃潰瘍17%、高血圧13%、結核11%であり、骨折・肝疾患・糖尿病などが次いで多かった。
 受診者を50歳未満・50歳代・60歳以上の3つの年齢階層に分類してみると次のような特徴が見られる。高血圧は主訴・受診病名・既往歴のすべてにおいて、50歳代・60歳以上の年齢階層に非常に多く見られ、かつ50歳代より60歳以上の階層の方が高率である。医療機関で治療した疾患のうち高血圧・胃潰瘍・糖尿病・結核が50歳代に最も高率に認められる。既往歴でも胃潰瘍・糖尿病が50歳代で最も高率に認められ、60歳以上では低い。50歳代の野宿者は重篤な生活習慣病や結核に罹患している割合が高く、この年代の健康状態の悪さを示唆している。
 生活習慣病といわれる高血圧・胃潰瘍・糖尿病はもともと40歳以降に増加する慢性疾患であるが、野宿生活を続けることによる塩分・炭水化物の多い不規則な食事、栄養不良、ストレスにより症状の悪化を来すことは明らかである。また寒冷な環境が原因の慢性的な呼吸器疾患を抱え、過去の結核が再発する事も少なくない。生活保護や医療扶助の敷居の高さのため慢性疾患に対する継続的な治療をすることは困難である。たとえ治療が可能となっても、いわゆる「青空通院」では寒冷環境から身を守ることはできず、栄養摂取も充分ではないため健康状態の改善は期待できない。実際我々が支援の現場で出会う野宿者の中には、最高血圧が200mmHg以上の高血圧、白内障・網膜症などの合併症で失明状態になった糖尿病、著明な腹水が現れた肝硬変、毛根から浸出液がでるほど重篤な浮腫を呈する心不全、吐血をして意識不明となった胃潰瘍など危機的な状況にあることもまれではない。
 生活保護を比較的受けやすい60歳以上の野宿者に比べ、50歳代では社会保障の網の目からこぼれ落ち、もともと年齢的に就労は困難である。社会環境・健康状態両方の面でこの世代の野宿者は最も厳しい環境にあるといえる。生活習慣病は継続治療ができないと、その病状が悪化し最終的には死に至ることもある。大阪市監察医事務所で検案された野宿者の死亡平均年齢は56歳、新宿区で2002年1年間に路上死した41名の平均年齢も59歳である。現代の日本において50代後半で死亡する集団があるということは驚くべき事である。60歳以上の野宿者の健康が相対的によく見えるのは、重篤な疾患を抱える野宿者は60歳まで生存できないためではないかと考える。
 今後、行政が50歳代の野宿者に対しより積極的に社会保障を運用することで、路上死を少なくすることができると考える。

<引用文献>
・大脇甲哉:野宿者の健康問題 ー加齢による影響ー;Shelter-less, No.19,101-107, 2003
・黒田研二:大阪市における野宿者および簡易宿泊投宿者の死亡の実態;Shelter-less, No.15, 3-9, 2002

3-2主に新宿中央公園での歯科相談を通じてみた、口腔内の特徴

 歯科としての相談は2000年度より健康相談時を中心に受けている。この3年間で200名余の相談があり、相談者の傾向を探ってみた。

★ 訴えの半数以上は痛みだった。
歯の痛みや歯が動いて痛いというものが多いが、腫れて痛い、入れ歯が痛いというものもある。また、3人に1人くらいは、歯がなくて食事が噛めないために困っている。
★ 8割の人に平均4.6本の虫歯があった。
同年代の統計では「5割弱に1本強の虫歯」なので、虫歯は明らかに多い。一方、治療されている場合は極端に少ない。
★ 95%以上が歯周病(歯槽膿漏)で、19%には残すことが困難な歯があった。
同年代の統計では罹患率は85%程度、保存困難歯は5%程度であり、歯周病(歯槽膿漏)も多い病気である。二人にひとりは歯石の沈着がひどく、歯のクリーニングがすぐにでも必要である。放置しておいたら動揺がひどくなり、自然脱落したという話も多く聞かれる。
★ 平均10.8本の歯を失っており、噛むことが困難である人が多くいた。
37%もの人が、上下で噛み合う歯が全くなかった。入れ歯がある人は14%のみで、67%の人は入れ歯を作る必要があった。17%は顎関節症であり、咬合位の変化による影響も考えられた。
★ 前癌病変、腫瘍も、、、。
白板症、血管腫、線維腫などの前癌病変や腫瘍、また、上顎洞炎や下顎前突症も、それぞれ1名ずついた。
★ 48%は歯磨きをせず、11%は1日1回未満だった。
1日1回以上磨く人が29%、2回以上磨く人が12%と少ない傾向にあった。歯を磨かない理由は、「歯磨きする場所がない」「歯ブラシや歯みがき粉がない」「歯がない」「磨くと痛い」等であった。
★ 73%は喫煙者だった。
喫煙は歯周病(歯槽膿漏)の悪性化因子として知られており、口腔粘膜病変の原因ともなる。
★ 歯科医療機関への紹介
治療が早急に必要であったり、病状を説明し治療を希望した、全体の71%の人に紹介状を書いた。また、医療機関受診までの緊急対応として、痛み止めを13%に、うがい薬を4%に渡した。

 歯周病(歯槽膿漏)は生活習慣病に数えられ、口の中を清潔に保つことが必要である。進行すると歯がぐらついてきて腫れたり抜けたりし、噛むことが困難になる。95%以上が歯周病(歯槽膿漏)に罹患していたが、糖尿病(11%)や喫煙(73%)など悪性化因子として知られているものの率も高く、野宿という食事も安定せず口腔清掃も充分に保てない環境では、改善はかなり難しいと思われる。
 虫歯や歯周病(歯槽膿漏)で平均10.8本の歯が失われており、このままでは残った歯への負担を増して更に歯周病(歯槽膿漏)や歯根破折を引き起こす。顎の関節へ影響することも容易に考えられることである。また、食事を噛まないまま飲み込むことや、偏食にならざるを得ないことにより、胃腸障害などの全身疾患への影響もある。入れ歯などの補綴処置が67%の人に必用だったが、それでも天然歯の半分の力しか引き出せないので、なによりも歯を失わないための治療、つまり虫歯であれば痛みがひどくならない段階での保存治療が、歯周病(歯槽膿漏)であれば歯科医院での除石処置や基礎疾患である糖尿病の治療などが必要である。
 歯科で多い病気は虫歯と歯周病(歯槽膿漏)だが、これは歯や骨が痛んだ状態である。歯や骨といった硬い組織は、放っておいて自然に治るものではない。そのため、歯科医療機関へ通院し、原因を除去したり、失った歯を人工物で補ったりすることが必要となる。虫歯や歯周病(歯槽膿漏)は痛みがなくてもどんどん進行して行き取り返しのつかないこととになるので、問題があるのであれば、痛みが少なくても、早めに治療することが何より重要である。
 このため歯科相談では、相談者の多くに紹介状を書いており、福祉事務所の方々にもお世話になっている。手続きの煩雑さなどあると思われるが、今後ともご支援ご協力お願いしたい。

4.戸山公園の健康相談会から見た野宿生活状況の人の特徴

 高田馬場駅から徒歩数分のところに都立戸山公園がある。この公園にも多くの人々が野宿生活している。2003年最新の概算によると、テントだけでも約157基(加えて箱根山29基)。ダンボール生活者は約250人。他にも、夜間になると芝生やベンチには200人以上の人が寝場所を求めて集まってくる。
 戸山公園では毎月1回、以下の方法で健康相談会を行っている。

4-1相談会の方法

 当該地域の健康相談会の特徴は「地域住民を対象とした健康相談会」ということにある。「地域住民」とは、公園を中心とした地域に住む人たち及び公園を生活の場としている人たちである。公園内には、仕事がなく何日も食べることが出来ない人もいることから、おにぎりやみそ汁、お汁粉などを用意し提供している。同時に相談会の場を馴染みやすくするためにコーヒーなどのティーサービスも行っている。広大な戸山公園では相談会の存在を皆に周知するには限界がある。相談事があっても、情報が伝わらないばかりに、相談会の存在を知らないということもある。最近では、テント生活をしている人にはかなり周知できているが、それ以外の多くの流動層の中では未だ知られていない。出来る限り、相談会の機会を最大限に利用してもらうために以下の方法で行っている。
1)  公園入り口に管理事務所の協力で借りた机を出し医師と看護師によって10時〜12時定点で相談を行う。
2) チラシの配布による相談会開催の案内、及び、安否確認のため、相談会開始時にテントや芝生にいる人たちへアウトリーチによる声かけを行う。その際に食事が摂れていない人にはおにぎりを提供する。
3) アウトリーチの時に重症者や対応困難な人がいれば定点にいる医師につなぐ。
4) 医療機関への受診が必要と思われる人や希望する人には、医師が紹介状を書き、新宿連絡会が毎週月曜日に行っている福祉事務所での生活保護申請支援行動につなげる。(資料:1「医療相談会の流れ 図」参照)

4-2戸山公園に住む人々の特徴は以下のようなものである

★働きながら野宿をしている人が非常に多い
 戸山公園には野宿労働者と言える野宿環境で働いている人が多い。戸山公園から程近い高田馬場は、手配師が労働者を集めにくる“寄せ場”、労働者側からは“寄り場”がある。彼等は、早朝現場に出勤し、夜帰ってくる。仕事は,建設現場等の負担の重い肉体労働。日当は平均して約7千円。仕事は不安定であり、月収にすると多い人でも10万円に満たない。彼等の仕事の多くは「顔付け手配」によって得られる何の保障もない日雇いの仕事である。不安定で低賃金の労働者は、受診のために休めば翌日はもう仕事がない。また、体調が悪かったことが雇い主に知れれば、立場は更に不利になり失職が待っており、その日から食べられなくなる。死活問題である。そのため、少しくらい体調が悪くても受診を引き延ばし、苦痛を押しても仕事をしている人がとても多く、結果的に重症患者の発生につながる。以上の理由から、彼等が福祉事務所の開いているウィークデーの昼間に生活保護制度申請のために時間をとることは容易ではない。
★現役の労働者として「自活している」人々には「福祉のやっかいになるのは恥だ」という風潮がある。その中で、重症患者の救急搬送が時々ある。突然の吐血。重症の肝臓障害。(飲酒率も高く依存傾向にある人が少なくないため、障害はアルコールが要因になることが多い)重い結核を発症する人や時には餓死で発見されたこともあった。また、2002年暮れから2003年新春にかけて3人の凍死者が出ている。

5.パトロールから見た駅周辺を寝場所とする人たちの特徴 

 新宿連絡会では、毎週日曜日夜にパトロール(夜回り)をおこなっている。パトロールでは、路上や公園で野宿している一人ひとりに声をかけ、健康状態等の聞き取りをおこなっている。その場で医療機関受診の希望があった場合は、翌日の新宿区福祉事務所における生活保護申請行動につなげている。
 パトロールは時間帯により、以下の二次にわたる。それぞれのコースと各コースで出会う人数(概数)は以下のとおりである。
 
◆第一次パトロール(19時30分〜22時)4班体制
・ 中央公園コース 170〜240人
・ 新宿駅西口周辺コース(都庁下と南口を含む)120〜190人
・ 新宿駅東口周辺コース(新宿御苑周辺を含む)40〜70人
・ 大久保コース(柏木公園とその周辺を含む)50〜80人

◆第二次パトロール(22時30分〜23時30分)1班体制
・ 新宿4号街路(地下通路)40〜80人
・ 新宿駅西口地下広場(西口交番裏)70〜150人

 時間帯を分けているのは、4号街路及び西口地下広場ではガードマンによる退去指導のため、遅い時間にならないと滞留することが許されないという事情によるものである。野宿をしている人の中には時間により移動している人もいるので、第一次と第二次で重複して出会う人もいる。
 各コースで出会う人数は季節や天候に大きく左右される。気温が下がれば、比較的寒風から体を防ぐことができる4号街路や西口地下広場で出会う人が増え、雨天時には都庁の下に避難する人が増える。気温が上がった晴天時には、中央公園や西口などで出会う人が増える傾向にある。
 パトロールでは市販薬も携帯し、症状が見られる場合に手渡ししているが、冬の寒い時期は風邪薬、夏の暑い時期にはかゆみ止めを求める声が圧倒的に多い(特に4号街路や西口地下広場で出会う人にその傾向が強いように思われる)。また一年を通して胃薬を求める声も一定数ある。
 西口地下広場でのパトロールでは、「野宿して一週間」「まだ3日目」というような野宿経験の浅い人と出会うことが多く、緊急一時保護センターなどの行政支援を求める声も多い。炊き出しなど食物の調達方法にまだ熟知していない人もいるため、栄養状態の悪い人に会うこともある。そのため、このエリアでは特に行政や民間団体の情報を詳しく提供することに努めている。

6.課題と提案

6-1保健活動から見えること

 健康相談会における相談内容のほとんどは、これまでの不安定な生活や野宿生活が影響している症状である(資料:「相談会の疾病分類表」参照)。
 結核では、全世界で毎日5000人以上が亡くなっていると言われている。結核と貧困は切っても切れない関係にあるが、野宿状況下の人々にとっても例外ではない。日本では、罹患率は人口10万対指数で全国平均は32.4、東京34.3。そして新宿は77.8と高率である(『東京都における結核の概況より』平成10年度統計)。新宿の野宿生活状況にある人たちの結核罹患率の代表値は、冬季臨時宿泊所などの施設健診では平成6年度〜8年度で、1261名中、要治療の結核患者は33名。発見率2.62%と異常に高い値として出ている。以上のことから野宿生活状況というハイリスクの人たちへの結核のケアは重要課題と考える。
 低栄養や睡眠不足から治りきらず悪化し長引く風邪、収縮期200mmg以上拡張期110mmg以上の強度の高血圧は、不安定で苦痛の多い寝場所や常態化している睡眠不足と食事が影響していると思われる。腰痛や四肢痛・筋肉の強い疲労は、公園のベンチや駅・ビルの軒下など硬い寝場所や僅かな食べ物を得るために長い距離を歩かなくてはならない状況も考えられる。また、低タンパクや空腹を押さえるための過度な飲水が引き起こす改善しない下痢。そして栄養不良や疲労による足のむくみ。皮膚疾患では、清潔が保てないことが引き起こす疥癬や白癬症が特徴的であり、抵抗力の低下も伴い白癬からひどい蜂窩織炎を合併することも珍しくない。これら全ての症状は糖尿病の悪化と合併症も連想させる。不衛生は保健上の困難を引き起こすばかりではなく、地域からの嫌悪を始めとする社会参入への大きな阻害要因となり、就労の機会も遠のく。野宿生活状況にある彼らの健康問題と悪化リスクは、清潔と安全が保たれる安定した住居と充分な栄養が満たされれば、すぐにでも改善されるものであるが、路上においてはしばしば、死に至るような重篤な状態をひきおこす。
 相談会の受診から治療につながった人が、相談会の受診を経て治療につながったとしても、野宿生活を送りながらの青空通院や、退院後、就労可能年齢等を理由に生活保護利用の廃止となり、野宿生活に戻ることを余儀なくされた場合など、再び健康を害し、救急搬送を繰り返すことも少なくない。
 また、一時的な宿泊が得られても、先行き不安定な法外宿泊の利用に頼らざるを得ない場合の多くは、近い将来、再び野宿生活に陥りやすく、野宿生活と健康を害する悪循環がつづくことになる。野宿から脱した人には、二度とその生活に戻らないための方策が必要である。

6-2提案

以上のことから、健康問題リスク回避のためにいくつかのことを提案したい。
 1. 清潔支援(優先課題)
公園内など身近な場所にシャワー・風呂・着替え可能なスペースを置く
 2. 退院後の保護廃止をなくす
医療保護の始まりは、利用者にとって医療ばかりではなく生活支援の始まりであり、路上ではない生活の足がかりである。この機会を健康回復・就労・地域生活につなげる必要がある。
 3. 法外宿泊は症状が軽微および短期の人に限ったほうが良い
 4. 連絡会および医療班が行っている定期健康相談・症状が軽微なうちに提供する市販薬(年間約30万円)、パトロール(夜回り)による訪問と相談、そして制度にアクセスするための支援活動は今後も継続的に行う必要がある。
 5. シャワー・着替え・食事および利用できる制度に関する情報提供等のサービスが受けられるセンター(ドロップイン・センター)の開設。

おわりに

 野宿生活状況にある人たちへの継続的な保健・医療活動を行ってきた新宿連絡会・医療班の提案は、野宿生活がいかに健康を害するものであるかを報告し、彼等の状況を早期に改善することを期待するためのものである。これは、行政としても黙認できない状況を解決する必要性からその目的は同じであり、今後は、より深い協力関係のもとで活動を行ってゆくことが必要だと考える。



 資料:新宿連絡会医療相談記録(1996年3月〜2000年12月)

1. 受診者数(のべ)
1644人
2.男女比
男性
1284人(96.5%)
女性 
47人(3.5%)
3.年齢分布
平均年齢
52.4歳 
20〜29歳
2.1%
30〜39歳
7.7%
40〜44歳
8.2%
45〜49歳
15.2%
50〜54歳
20.3%
55〜59歳
19.8%
60〜64歳
19.2%
65〜69歳
5.6%
70歳以上
2.1%
4.相談者の「野宿生活」期間
1ヶ月未満
10.5%
1〜3ヶ月未満
19.7%
4〜6ヶ月未満
15.5%
6月〜1年未満
14.8%
1〜3年未満
21.5%
3〜5年未満
7.3%
5〜10年未満
7.5%

5. 相談時に医者が受診を勧め、紹介状を渡し実際に医療機関を受診した人の主訴と、医師の診察時に症状によって類推した病名および症状(のべ409人)

高血圧
17.4%
 腰痛
6.3%
胃潰瘍
5.9%
歯痛・虫歯
5.9%
結核疑い
5.0%
気管支炎・肺炎
4.8%
湿疹・皮膚炎
3.9%
糖尿病(疑い含む)
3.5%
化膿創・蜂巣炎
3.3%
下痢・全身衰弱
3.0%
関節痛
3.0%
打撲・外傷
2.6%
浮腫
2.0%
腹痛
2.0%
肝疾患(疑い含む)
1.7%
四肢痛
1.7%
麻痺・筋力低下
1.7%
アルコール依存症
1.7%
骨折
1.5%
視力障害
1.5%
その他
21.6%


6.入院した人の主要病名
(のべ68人)

  胃潰瘍
13.2%
結核
10.3%
高血圧
10.3%
心不全
8.8%
骨折
8.8%
骨・軟部腫瘍
5.9%
アルコール依存症
5.9%
肝硬変
4.4%
肺炎
4.4%
全身衰弱
4.4%
その他
23.6%