長い長い夏が終わり、季節はいつの間にか冬へと移り変わっています。
 
 新宿の路上の景色も、枯れ葉が北風にあおられ舞い落ちる公園や、襟を立て震えながら歩く通勤客にまみれた駅構内の中に、一人ひとり、まるで時間から取り残されたような姿でうずくまる仲間の姿がやけに目立つ季節へと変わりつつあります。
 暖が恋しい冬の路上はいつものようではあり、されどいつもとは違う光景に見えてしまうのは、時代が変わり、そして私たちの意識も日々変わるからなのかも知れません。

 この光景をしばし目に焼き付け、ここから何を始めるのかを考え、煩悶する、いつもの越冬の頃が今年もやって来ました。

 路上生活状態は本人の(とりわけ健康の)為にも、また社会(地域)のためにも宜しくないと、そこからの退却のためのルートを探り続けてきました。自力や共助ではなかなか進まない仲間には、生活保護の活用や、法外援護の活用、そしてそれだけでは十分ではないため、国には「ホームレス自立支援法」を制定させ、自立支援センターなどの就労支援制度の整備、自立支援策の整備なども進めさせ、東京都には借り上げアパート事業などを大規模に実施させ、また新宿区には専門相談所開設や自立支援ホーム事業など独自事業も実施させて来ました。
 社会や地域は何もしていない訳ではなく、この十数年は制度との格闘を続け、路上生活状態の拡散や増大を防いで来たつもりです。
 しかしながら、大都市の宿命は、多くの失業者、無業者を多く流入させ、それまでの社会の努力や効果と云うものをいつも薄めてしまいます。この問題が長期化している原因はここにあります。
 同じことの繰り返しをする。これはとても忍耐が必要です。人気取り商売の人々は新しいもの、新しいものへと飛びつこうとします。社会問題もまた同じです。その新しいものの中に実は古いものが内在し、ただ擬態をしているに過ぎないと云う事実に人はあまり感心を持ちません。今はそのような世の中のようです。

 社会が制度をここまで投入しても尚、新宿での路上の仲間の数はこの一年横ばいのままです。これが下どまりなのかと問われれば、否と答えざるを得ません。2,160名(東京都の本年夏の路上生活者概数調査数)の路上の仲間が越さなければならない冬が健全な冬であるとはとうてい思えないからです。
 そこには2,160通りの人間の葛藤があり、それをたとえ解きほぐしても、新しい仲間がまたここには来るからです。

 路上を見つめる冬がいつの日かなくなりますように。

 

                                             2012年11月

    

 2012〜2013越年越冬行事のお知らせ

12月 9日(日) 戸山公園の医療相談会 午前10時より
        防寒着衣類毛布配布 午後4時半過ぎより
        中央公園の医療相談会 午後6時より
12月16日(日) 防寒着衣類毛布配布 午後4時半過ぎより
12月23日(日) 防寒着衣類配布   午後4時半過ぎより
        中央公園の医療相談会 午後6時より
12月28日(金)越年準備作業〜正午より
12月28日(金)〜 1月3日(木)までの越年期間
     連日、炊出し(一日二回)の他、医療相談、パトロール、コンサートなど越年集中行動
1 月 4日(水) 越年本部撤収
 

  中央公園「水の広場」にて実施。 主催 新宿連絡会&NPO新宿 090-3818-3450
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