今年も冬の取り組みが開始されます。
思えば、1994〜1995年の越年越冬から30回目。
長い長い道のりですが、お陰様で路上で暮す仲間も当時に比べれば大幅に減り、早晩、私たちの手もそろそろ必要なくなるのかも知れません。けれど、新宿は多くの仲間が集まる都内有数の場。私たちの調査で新宿駅周辺が160名前後、大久保地区や戸山地区などその他の地域も含めれば180名前後の仲間がこの冬、路上で暮すことを余儀なくされています。この数、そして東京都調査人数との差をどう見るのかは 色々あるでしょうが、それでもこれくらいの規模の仲間が、この30年の歩みの中で残り、また新たな問題ともなっています。
私たちの活動も、そして東京都や新宿区の取り組みも、まだまだ十分ではありません。
 
旧来の仲間は気心知れた仲間達で、自らの意思で路上で暮している者も少なくありません。それはそれでその生き方を尊重するのが私たちの立場です。その上で冬とのたたかいを物資などで補強し、冬でもこの新宿で生きていけるよう支え続けます。
問題は新規で新宿に流れ着いた仲間です。これが大変難しい。年齢も性別もバラバラで、来歴にも幅があります。また、その意思や希望も判然としないことが多く、特に若年層ともなれば一筋縄ではいきません。
とにかく顔を合わせること、一言でも二言でも声を掛け合える関係になること、そして、本当に困っていることを聞き出すこと。そんな作業が一人ひとりに必要になります。チラシで情報と云うのも良いのですが、情報は今や多くありすぎ、何が本当なのか分かりません。顔と顔の関係で信用してもらうしかありません。

路上の初めての冬はとても大変です。そこで生きる術は仲間に聞く他なく、独りで居たら凍え死んでしまうこともあります。どこに行けば飯にありつけるのか、毛布をもらえるのか、どこで寝ればゆっくりと練れるのか、そして、風邪なんかを引いた時はどうするのか、持病の薬が切れた時はどうするのか、仕事を探すにはどうしたら良いのか、住所を置くのにどうしたら良いのか、色々な問題が路上に居れば推しよせて来て、なかなか、どうしたら良いのかの方向性すら見いだせません。そんな時は相談をと、私たちは冬の路上を、とにかく、やみくもにでも回り続けます。
 年末年始は連日炊出しもします。温かい飯を。温かい仲間の関係を。ここに来ればどうにかなる。このようにやっていけばどうにかなる。 そう云う象徴的な取り組みです。

今期は暖冬にはならず、平年並の冬になると予報されています。その中でも東京の「厳冬期」は年が明けてからですが、福祉事務所と連携しながら、厳しい仲間、病気の仲間、高齢の仲間を施設に誘導したり、保護をしたり、緊急入院をしてもらったりと、そんな活動が軸になります。

冬に頑張るのは良いが、あまり意地を張って頑張り過ぎないようにしてもらうのも私たちの役目です。私たちは冬の路上で亡くなった仲間を多く知っています。その顔も一人ひとり覚えています。そう云う悲劇が起こらぬよう、「仲間の力で仲間を守る」越年越冬の取り組みは、とても大事なものです。

生きることに執着し、冬を乗り越えていくたたかいに是非とも多くのご支援をお願いします。

 

新宿連絡会 事務局   2024・12・1

 

(昨年の年末年始の取り組みの様子)