東京都保健福祉局は10月21日、本年(2009年)夏季の路上生活者概数調査の結果を発表しました。
これによれば、23区内に限定すれば、調査開始以来最低の2499名(前年度146名減)、市部、国管理河川分を合わせると都内全域で3570名(前年度270名減)となっています。
東京都は、この減少は「自立支援システムや地域生活移行支援事業の効果」と発表していますが、この不景気の中、増えている「筈」の路上生活者が減っているとの数値は、ようやく摩訶不思議な現象として語られ始めました。
まあ、尤も、東京都の概数調査数はあくまで「概数」であり、実態をストレートに反映していない事についての検証や批判はこれまでも私たちが指摘し続けて来ましたし、参考数値として夜間調査の実施とその数値の発表を東京都にも求めて来たのですが、相も変わらず旧来の手法により概数調査が行われ、発表された事は誠に残念な事です。
実態がどうなのかの議論なしに語られる「ホームレス問題」では、まともな施策につながらないのですが、まさに今の議論がそうであり、増えたと言うのであれば、新たな調査方法を確立しながら実証していけば良いのですが、そのような試みは一部の支援団体(私たちだけ?)が実施しているだけで、誰も行おうとしていません。そのおかげで、「新宿の野宿者は倍増した」なんていう「都市伝説」のような話が跋扈し、「こりゃ大変だと」マスコミやら政党やらが扇動をし始める。
結局は「ホームレス問題」とは、社会政策として未だ正確に位置づけられておらず、扇動的にしか語られず、対処療法しか行われない「問題」でしかない事が、未だに明らかになっていない「東京のホームレスの実数」は図らずも語っています。