路上にも人がつながり、生きている。と、なれば文化もまた花開く。
 連絡会は年に一回の夏まつりだけではなく、日常的な路上文化活動を提唱しています。年6回発行の路上文芸誌「露宿」(ろじゅく)の発行、定期的な路上映画上映、路上音楽会、越年音楽祭などを様々なボランティアやいろいろな趣味をもったおじさん有志と共同で行なっています。
 最低限度の生活とは文化の充実から!

 新宿夏の風物詩=新宿夏まつりは今年で早くも9回目となる。夏まつりは越年の取り組みと同じく新宿連絡会の一大イベント。越年に比べれば娯楽色が強く、どちらかと言えば軽視されがちだが、何にもない路上には季節感と娯楽と文化が何よりも必要である。
 それは野宿者が社会から排除されていない事を確認する事業だからである。社会の一員として自らを確認しなければ「世捨て人」にしかならない。「飯だけ食え」「屋根だけ確保でき」の機械的な支援だけでは、人間駄目になっちゃう。社会とは人との関係、路上の仲間も、仲間との関係、世間との関係を意識しないでは暮らせないし、社会への再参画も言葉だけになってしまう。
 だから、踊れ、歌えやが必要なのである。「東京音頭」が流れてくれば、「ああ、もうお盆か」「ああ、子供の頃は…」「俺の田舎では…」「別れたかあちゃんは…」とおっちゃん達は思い返す。そういう思いが人を蘇らせるのでもある。実に人間というのは合役所的な合理的発想ではなく、摩訶不思議な存在である。
 連絡会は、そんなおっちゃんおばちゃん達のここ(新宿)で生きている「実感」、「思い出」を祭りで作ろうとしている。より美味しい弁当を、より楽しい企画をと、連絡会の祭り屋達は走りまわる。盛大すぎても嘘っぽい、こじんまりし過ぎてもつまらない。路上の仲間にフィットした祭りの寸法は9回もやりながらもまだまだ計りきれない。
 「祭りのカラオケ大会で俺は歌ったんだぜ」そんな自慢話ができるようにしたいし「あんときゃ大変だったけど楽しかったな」と野宿の辛い思いを少しでも忘れ去る思い出を作りたい。  
 
 決して手を抜けないイベントなのである。

(連絡会NEWS NO30号より)