10月9日、東京都福祉保険局は平成20年夏期路上生活者概数調査の結果を発表しました。それによれば、23区内の概数は本調査以来最低人数の2645人、市部が133人、国管理河川部分が1062人、都内合計で3840人とこちらも4000人代を初めて割り込み、過去最低の水準となりました。
過去にも指摘し続けて来た通り、本調査は調査方法の限界がありあくまで概数の把握でしかないのであるが、それにしても実態からかなりかけ離れた数字が現れたと感心してしまうのである。
思うに、これまでの調査方法=昼間、公園等公共施設でのテント数のカウントでは、とりわけ地域生活移行支援事業以降において、路上生活者の存在や実態等全体像がネグレクトされてしまうのではないかと考えざるを得ない。すなわち、本調査の数は、地域生活移行支援事業を実施しても尚公共施設等に残された路上生活者の数を現しているに過ぎず、地域生活移行支援事業以後、都立公園などでのテント形態が大幅に制限された事により相対的に数を増やしつつある移動型の路上生活者を、補足し切れない事態に陥っているのではないだろうか。これまで失業率推移と路上生活者数を比較してきたが、本年に関しては景気の悪化により失業率があがっているに係らず概数が減り続けているのは、これまでのパターンと大きく違っている。
この数値を鵜呑みにせず、溝を埋めるために客観的な実証が必要なのであるが東京都も学者さんも、もちろんそんな発想を持っていない事が最も問題なのであろうとも思う。