都区の新事業大田寮のっけから混乱
緊急一時保護センター大田寮が12月に開始され、また、越冬対策施設の「さくら寮」「なぎさ寮」も12月から1月にかけて次々と開設されています。
東京都の新規事業たる大田寮には1月7日現在で254名(定員は300名)が23区から入所、新宿区は既に二順目でこれまで述べ49名を入所させています。他方、枠を新宿よりも多く持っている台東区、墨田区などでは、それぞれ45名、28名と当初枠を下回る入所者しか入寮させていません。新宿区では12月7日の入寮抽選会には119名が並び、1月7日は141名も並ぶという希望者が殺到する状態が続いていますが、台東区などは入所希望者が集まらずに手配師よろしく上野駅で狩り込みをしながら人数を埋めているという現状です。都区の新しい事業を野宿者へ周知徹底していない区が多い中でこのようなバラつきが生み出されているようです。また中には60代後半や70代の仲間を生活保護を適用せずに大田寮に行かせている区などもあり、新事業の趣旨目的を理解せずにドヤ代わりに利用しようとする区なども現れ問題となっているようです。他方、特人厚が調整する悪しき平等主義(枠割り)により、懸念していた入所期間が1と月経っても次のステップたる自立支援センターへ移転できないという事態が早くも発生。「待機待ち」状態の仲間が新宿区だけで7名もいるという事態となっています。
こうなると次の入寮者が入れず、事実1月7日の入寮は枠が18名(12月7日は28名)に削られました。これだけ希望者が殺到しているにもかかわらず、うまく23区の調整もつかず、かつ回転もしないようでは先が危ぶまれます。新宿連絡会としては緊急の改善の申し立てを新宿区にしているところです。他区の枠や調整枠が大量に空いているにもかかわらず、希望者に使わせないということは、入寮希望者を他区へたらい回しにする結果にしかなりません。入寮希望者が少ない区は自ら周知徹底しないということなら、入寮希望者が多い区に枠を提供し、全体として大田寮を円滑に回すべきです。新宿区では越冬施設でも希望者が殺到しています。12月20日141名、1月4日129名、7日141名、10日171名、18日144名と減るどころか寒くなるにつれ増え始めています。来年以降は越冬施設を廃止すると東京都や特人厚は考えているようですが、新たな事業体系がこのような混乱混迷状態の中では越冬施設は廃止するどころか必要性は逆に高まっていくものと考えます。
東京都の「路上生活者対策体系」は全国に先駆けたものであり私たちもその施策と努力は高く評価していますが23区の内部において未だ施策上の温度差があるようでは心もとない限りです。自立支援センターにせよ墨田寮は3月末にようやく開設の見込みがたっているとはいえ、渋谷区などは区長自らが「そんな施設は必要がない」と言明し一向に設置の目処がたっていないようでは何をかいわんやであります。今後の施設増設計画が順調に行くのかどうかも含め、23区の地域エゴに対する監視の目がことに必要だと考えます。
(2002年1月20日記)