私たちは、全国の各都市部において、野宿を余儀なくされてきた人々を支援するための諸活動を行なってきたNPO、NGOです。私たちは、いわゆる「ホームレス問題」において、国の不作為の結果として多くの人々の野宿状態が固定化され、長期化させられていること、そして野宿者を安易に生み出す社会構造を放置していることこそが問題の根幹にあると考え、「国の責務」において抜本的な対策を行なうことを訴えてきました。
そして、野宿を強いられた人々の自立を支援するため国が賓任を持って、雇用・住宅・福祉など多分野にわたつた総合的な対策を行なうことを明記した特別立法の制定を求めて、これまで請願活動を続けてきました。
今年6月、民主党が衆議院に提出した「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」(rホームレス自立支援法案」)は、私たち民間団体の意見も取り入れた内容となっており、私たちはこの法案の早期成立を求めながら、その行く末を固唾を飲んで見守っていました。
しかし、先週からの新聞報道によると、この法案の今臨時国会での成立は政党間のかけひきの結果、困難こなったと伝えられています。
私たちは、路上で坤吟する多くの人々の生命に関わる法案が政党の都合で先送りされることがあってはならないと考えます。また、公園等の公有地からの「排除」に力点を置き、「自立支援」という法案の性格を変更しようとする動きが出ていることにも反対します。「排除先にありき」という頑なな姿勢こそがこれまで野宿の当事者の間に根深い行政不信を植えつけ、状況の混迷化を招いてきたからです。
今年8月31日に公表された国連社会権規約委員会における「経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の総括所見:日本」においても、日本において「ホームレスの人々が多数存在すること」「締結国〈日本政府)がホームレス問題と闘うための包括的な計画を定めていないこと」(第29バラグラフ)ならびに「ホームレスの人々の仮り住まい場所からの強制立退き」(第30バラグラフ)に対して「懸念」が表明されています。
排除ではなく、自立の支援を目的とした法律を早急に制足することがこうした指摘に対する最大の「答え」になると私たちは信じています。
貴党におかれましては、「ホームレス自立支援法案」を一刻も早く、今臨時国会で成立させるため、最大限の尽力をお願いいたします。
2001年11月16日
特定非営利活動法人 釜ヶ崎支援機構
釜ヶ崎就労・生活保障制度実現をめざす連絡会(釜ヶ崎反失業連絡会)
新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議(新宿連絡会)
池袋野宿者連絡会
神奈川全県夜回り・パトロール交流会
特定非営利活動法人 北九州ホームレス支援機構
野宿者・人権資料センター
特定非営利活動法人 ささしま共生会
三多摩野宿者人権ネットワーク
*連絡先:野宿者・人権資料センター
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