2月22日の100名結集での国会前集会、座り込みを頂点に、第6次キャンペーンがたたかわれました。好天に恵まれ、元気よく法案制定を!の声を国会につきつけてきました。
(キャンペーン用チラシ)

ホームレス自立支援法の早期成立を!
戦後最悪の失業率の中、全国で2万4千もの人々が路上暮らし。8割が就労希望も、職なし家なし、行政支援も十分でなく放置され続けています。国の責務を明らかにした法制定を私たちは求めています。

 私たちは都内各地で野宿者を支援しているNGOです。
 産業の空洞化、倒産件数の増加、失業率の悪化と厳しい日本経済が続いている中、全国の野宿者数は一昨年から20%近くも増え、厚生労働省の調べでも2万4千を越しています。そのほとんどが失業など経済的な要因を理由として路上生活をせざるを得なくなり、また、8割近くの人々が就労を望んでいますが、野宿故に安定した就労に就けず苦しんでいます。
 今日、ホームレスが急増しているのは、「怠け者」集団がある日突然急増したという事ではなく、社会経済的な要因によって社会の下積みで働き続けて来た人々が、失業など突発的な出来事などで困窮の度合いを増し、かつ、行政や地域などのセーフティネットから漏れ、住居を失い、他の選択肢がない中で野宿をせざるを得ない生活環境まで落とし込められた結果です。
 「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する筈の生活保護制度というのは、今日、機能不全に陥り、大きな曲がり角に立っています。この法律は人々がホームレス状態となることを防止するという本来の役割を果たせなくなって来ているのです。この制度が機能しているのであれば、ここまで野宿者をいたずらに増やす事はなかったでしょう。
 野宿に至った人々に対し、もう一度社会の中に再参画できるよう就労と住居の確保を促していく制度がない。あったとしてもその制度(生活保護法)は今日の社会現象に適応しなくなって来ている。この事こそが、ホームレス問題を深刻化させている大きな要因です。怠け者ではなく、就労の意欲はある。ダンボールハウスやテントハウスに象徴されるよう、安定して住める居住への意欲もある。そこでの野宿を余儀なくされた人々には多くのコミュニティが存在するよう社会性もある。が、その意欲を支え、就労や安定した住居確保を促す制度や仕組みがない。その結果、野宿者は行政の支援策から除外され、放置され続け、「怠け者」などのレッテルを貼られ、社会的な排除や差別の対象となり、東村山市で起こった少年による襲撃事件などの被害者となる。これは私たちの社会にとって大変に不幸な事態であると言えるでしょう。
 私たちは、国や地方自治体に対し、ホームレスとなる事を予防する社会的なセーフティネットの再構築、そして野宿に至った人々の尊厳を守り、生きる意欲を支えていくような自立支援策を構築するよう求めています。現在、国会の場でもようやく着目され始めた「ホームレス自立支援法」は、そのための第一歩を記す重要な法案であると考え、私たちは今国会中に「ホームレス自立支援法」を早期制定するよう求めています。
 6日の代表質問でも民主党鳩山党首の質問に対し、小泉首相は「今後とも地域の実情をふまえつつNPOとも連携を計りながらホームレス対策の推進に努めてまいります」と前向きな答弁しました。本会議の場でホームレス問題についての質疑があったのはおそらく初めての事であり、極めて異例な事であります。それだけこの問題は政治が関与すべき大きな社会問題であるという事です。小泉首相の答弁は構造改革の結果、犠牲になっている人々をこれ以上は放置は出来ないとの認識だと考えています。私たちは与野党ともども、ようやくこの問題についての見識を深め、政治の力で対策を前進させていこうとする姿勢に大きな期待を抱いています。
 このように与野党が「ホームレス自立支援法」制定に向け動き出したのは歓迎する一方で、「ホームレス自立支援法」の内容に関し大阪市などが「もっと公園などの適正化を強める条文にしてもらいたい」などと圧力をかけており、これらの意向が法案の内容に強く反映されるのではなのかとの危惧を私たちは有しております。大阪市のみならず自治体の中では、公園からテントを撤去することのみに重点を置く向きがあります。が、問題なのは、公園や河川敷で寝泊まりしている人々が自発的に行政の自立支援施策に参加できる程の実効性があり展望のある施策を提供できるかどうかです。排除を前提にしたところでうまくいった試しがないのは青島都政の経験で既に実証済みですし、また、それは国連人権規約委員会などでも指摘されているところです。「自立支援法」なれば、強制排除を目的にするのではなく、就労や住居へ結びつく自立支援策を最大の目的にしたものとしなければなりません。その結果として公園や河川敷の適正化は自ずと現われてくるのです。でなければ、「適正化」はするものの、再び他の場所での「不法占拠」状態が続いてしまうだけの結果しか現われないでしょう。排除前提の議論ではなく、潜在的なホームレスの問題、ホームレスの予防策など、広い観点からの「解決策」というものが今、求められているのだと考えます。臭いものに蓋をするのは簡単です。が、それで「解決」する程、単純な問題ではないという事を考えるべきでしょう。ホームレスを安易に生み出す今日の社会、やり直しが出来ない今日の社会、貧富の格差が大きくなり貧しい者の居場所を奪い続けている今日の都市社会、こういう大きな政治的テーマを孕んだ問題であるという事を私たちは強く訴えます。
 私たちはこれらの議論をしっかりとやり、全国のNPOやNGOと地方自治体、そして地域社会が共に手を携え有効で効果的な対策が出来るような「ホームレス自立支援法」が全会派の賛成で成立する事を望んでいます。
 このチラシを手に取った方々が、是非とも私たちと共に声を出されん事を強く訴えます。