新宿区及び周辺の路上生活者概数 2002年5月-6月調査
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| ＜概数調査の方法＞ 新宿区内、およびその周辺部の主要野宿者居住地をブロック別に区分し、時間帯をずらし（昼、夜、深夜）て丹念に回り、定住者（テント、ダンボールハウスなど生活拠点を比較的安定的に有している者＝テント数）概数と半定住者（就寝場所や生活物資の保管場所を一定その場に確保し夜間のみテントを張るなどしている者）、非定住者（生活物資を自分で持ち、ないしは他の場所に保管し、就寝場所が相対的に不安定な者＝いわゆる流動層）概数をカウントし割り出すという方法を取っています。 この調査は8年来新宿の地で毎週パトロールを行なっている新宿連絡会パトロール班が実施しました。新宿連絡会パトロール班は同種の調査を過去何回も行なっており、また野宿経験者、現役野宿者がパトロール班には加わっており、東京都の実施している同種調査（昼間）に比して精度の高い調査となっている筈です。調査の基本は目視調査ですが、不明な場合は直接声をかけて確認をしております。明らかに野宿の者と確認できても歩行中の者、昼寝など休息中の者はカウントはせず、半定住者、非定住者の概数は就寝体制をとっている者のみをカウントしています。 調査期間は2002年5月28日〜6月21日、昼、夜、深夜です。 定住層、半定住層の概数は目視において比較的正確にカウントできますが、非定住層は移動するため重複の可能性があります。その可能性を可能な限り排除するため、非定住層概数は就寝体制に入る午前2:00前後を基本としています。すなわち、昼間や夜間の調査は非定住層はカウントせず、深夜の調査でカウントされたものを数値として確定しています。もちろん、調査日が一斉でないので多少の重複はあると思われますが、多少の誤差レベルとなっていると思われます。 また、調査は行政区分の新宿区内に限定する事なく、明らかに新宿圏で生活を営んでいる周辺の人々も含めています。例えば、新宿駅新南口やその周辺は行政区分では渋谷区となりますが、そこで寝ている人々の実態は、新宿区役所や新宿での炊出しを利用したりと、生活実態は新宿に根づいています。これらも勘案して各エリアにおける他区分もカウントされています(純粋に新宿区内という行政区分で数え直すと概数は、定住層411、半定住層93、非定住層845、計1349となります）。 |
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| ＜分析＞ 概数1419名の内、 居住形態を見れば、定住層は約30.5%、半定住層は約8.1%、非定住層は約61.4%という事となります。私たちは主要に昼間のこの 約30%（テント生活）の人々を見て「ホームレス問題」と呼んでいますが、新宿においては定住層は「ホームレス問題」の一角に過ぎず、多数が定まった居住地を持たずに駅周辺などで夜間寝ている人々が多数を占めています。もちろん非定住層の人々がたまたま調査した日に駅周辺にいたという訳でもなく、 100名単位の数値の変動はありつつも常に駅周辺には平均して同数レベルの数がカウントされている（通年的な新宿連絡会パトロール班記録）事から、新宿を起点に生活をしている人々の集団（だけれどもテントなど定まった生活拠点を持たない、もしくは、持てない人々）と言えるだろうと思います。ちなみに本年2月の東京都が実施した概数調査（昼間）では、新宿区は793名となっています。季節的な変動はもちろんありますが、昼間の調査は定住層やたまたま公園などで寝ている人々しかカウントできていないため、非定住＝流動層の正確な把握はこの調査ではあまり期待できないと考えられます。結果として非定住層が多い新宿区などでは、定住層が多い台東区や墨田区よりも野宿者数が少ないとされてしまい、23 区合同対策においては施設入所枠などで不利な扱いを受けています。いずれにせよ、新宿区の特色は、昼間目に見えにくい流動層の野宿者数が目に見える定住層に比して圧倒的に多いと特徴できるのではないかと考えられます。とりわけこの傾向は新宿駅周辺に集中的に特徴化されています。 （2002.6.24記） |
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