東京都がホームレス地域生活移行支援事業を発表
本交渉が始まりました。
 2月16日、東京都は特別区と共同し、16年度から「テント生活からアパートへ」移行させる新たな路上生活者対策事業を発表しました。
 東京都の発表によれば、路上生活者の多い特別区内の公園を対象に、借り上げ住宅(都営住宅、アパート)を 2年間で2000戸確保(16年度は)し順次公園で相談を行い、民間宿泊所に移行させ健康相談を行った後、借り上げ住宅に居住の場を移し、そこで就労支援や生活相談を行い、地域生活への復帰を図り、あわせて公園の本来の機能を回復させる事も視野に入れた対策で、16年度は約 6億円の予算を見込んでいるとの事です。尚、これらの事業は NPO団体等、民間団体への委託事業で実施するとされています。

 東京都がこれまでにないかなり踏み込んだ対策をぶち上げた背景には現行の路上生活者対策(生活保護関連施策と自立支援事業)を長年行いながらも、一向にこの問題の解決策が見いだせない、また「ホームレス自立支援法」が制定され国の基本方針が出たものの、具体策に乏しく東京都からするとそこに有効性を見いだせない事が背景にあると思われます。
 「路上から施設」と云うこれまでの対策の流れを自ら転換し、まずは安心して住める住宅を確保し、そこからの就労支援等を実施すると云う施策は、生活困窮者に対する王道的な手法です。東京都の路上生活者対策もついに路上から地域へのダイレクト移動を視野に入れる段階へ突入したと積極的に評価できるだろうと考えます。
 
 他方で財源が16年度で 6億足らずしか準備されていない、細部については今後決めて行くなど、今回の発表は単なるマスコミ、社会向けのポーズでしかない事も冷静に見ておく必要があります。実効性の部分でどの程度の規模で実施できるのか?この点では多いに疑問を感じています。
 「施策姿勢は良いが規模が足りない」は、自立支援事業を見るまでもなく東京都の施策の最大の欠点であり、他の施策との連携も含めてどの程度が実行できるのか、今後注目をして行きたいと考えます。


この施策についての東京都福支局のホームページは


 2月18日、東京都と新宿区そして、新宿区内で活動するNPO団体等が集まり、「ホームレス地域生活移行支援事業」についての説明と話し合いが都庁内で行われました。東京都からは今回の事業の概略が説明され、それを受け、民間団体側からの疑問点、質問等を提出し議論する形で説明会は開始されました。
 まだ発表したばかりの段階でしたので、細部についてはまだ何も決っていない事が多く、この間伝え聞くゴシップ情報を元にさまざまな質問を用意していた民間団体側も「肩すかし」をくらった格好で、議論はまるでかみ合わず今後同様の「話し合い」の場を持つ事で合意しました。
 特別区の中には生活保護費負担が大きくなる、適正化の水準が上がってしまう等を理由に意図的(政治的)に情報をマスコミや支援団体に流し、この事業をかく乱させようと云う動きもあります。これらの動きもあり、路上では情報が錯綜し、逆に仲間の生活不安をあおり立てています。
 新規事業を小規模ながらも着実に実施したいのであるなら、現場の混乱を避け、まっとうな「話し合い」をベースにこの事業を進めていくべきでしょう。そのために、細部について早急に詰め平場での議論に耐えられるものにしていく必要があります。私たちもマスコミや一部団体の先行した浮ついた話を根拠にするのではなく、粘り強く冷静に「話し合い」を続けていきたいと考えます。