2002年春の都区「路上生活者対策」の改善を求める取り組みが開始されました。
第8回新宿メーデーへ! |
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大田寮入寮者の立ち上がりに呼応しながら、新宿連絡会では都区「路上生活者対策」の改善を求める春のたたかいに着手しました。 都区は昨年春の「ホームレス白書」にもとづき「新たな自立支援システム」を作りあげようと努力しておりますが、施設は確かに増設され続けているものの、施策内容などソフト面をおざなりにする傾向が続いています。 その端的な現われが大田寮問題(施設の位置づけの混乱と相談体制の不備の結果、様々な矛盾が入寮者や入寮希望者にしわ寄せされている問題)として噴出してきています。 私たちは都区の「新たな自立支援システム」を最大限評価し、その推進のため、路上への情報提供、受付立ちあいなど福祉事務所との連携、自立支援センター・新宿寮、豊島寮、緊急一時保護センター・大田寮への面会行動、また、住宅確保をよりスムーズにさせようと保証人提供事業などを行ってきました。私たちは評論家的な立場からではなく、これらの事業を民間団体として支えて来た立場から、建設的な議論を都区行政と深めていきたいと考えています。 私たちは池袋野宿者連絡会と連名で、3月14日、特別区人事厚生事務組合、3月15日、東京都福祉局へ『「路上生活者対策」の拡充に関する要望書』を提出しました。 これにもとづき、今後4月12日、5月1日と東京都福祉局との「交渉」を行い、対策のソフト面の充実をはかって行き、対策利用者、利用希望者がより使いやすく、「屋根と仕事」を獲得できる効果的な施策により近づけて行きたいと考えています。 |
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(都庁前行動チラシより)
路上生活者対策の拡大、拡充を
もっと効率的な事業運用を!
緊急一時保護センター・大田寮の「混乱」を収束させ、
ステップアップ方式の自立支援事業を早期に改善させろ!
私たちは都内各地で野宿者を支援しているNGOです。
産業の空洞化、倒産件数の増加、失業率の悪化と厳しい日本経済が続いている中、全国の野宿者数は一昨年から20%近くも増え、厚生労働省の調べでも2万4千を越しています。そのほとんどが失業など経済的な要因を理由として路上生活をせざるを得なくなり、また、8割近くの人々が就労を望んでいますが、野宿故に安定した就労に就けず苦しんでいます。
今日、ホームレスが急増しているのは、前都知事青島氏が言うよう「怠け者」集団がある日突然急増したという事ではなく、社会経済的な要因によって社会の下積みで働き続けて来た人々が、失業など突発的な出来事などで困窮の度合いを増し、かつ、行政や地域などのセーフティネットから漏れ、住居を失い、他の選択肢がない中で野宿をせざるを得ない生活環境まで落とし込められた結果です。
「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する筈の生活保護制度というのは、今日、機能不全に陥り、大きな曲がり角に立っています。この法律は人々がホームレス状態となることを防止するという本来の役割を果たせなくなって来ているのです。この制度が機能しているのであれば、ここまで野宿者をいたずらに増やす事はなかったでしょう。
野宿に至った人々に対し、もう一度社会の中に再参画できるよう就労と住居の確保を促していく制度がない。あったとしてもその制度(生活保護法)は今日の社会現象に適応しなくなって来ている。この事こそが、ホームレス問題を深刻化させている大きな要因です。怠け者ではなく、就労の意欲はある。ダンボールハウスやテントハウスに象徴されるよう、安定して住める居住への意欲もある。そこでの野宿を余儀なくされた人々には多くのコミュニティが存在するよう社会性もある。が、その意欲を支え、就労や安定した住居確保を促す制度や仕組みがない。その結果、野宿者は行政の支援策から除外され、放置され続け、「怠け者」などのレッテルを貼られ、社会的な排除や差別の対象となり、東村山市で起こった少年による襲撃事件などの被害者となる。これは私たちの社会にとって大変に不幸な事態であると言えるでしょう。
私たちは、国や東京都に対し、ホームレスとなる事を予防する社会的なセーフティネットの再構築、そして野宿に至った人々の尊厳を守り、生きる意欲を支えていくような自立支援策を構築するよう求めています。
東京都は昨年「ホームレス白書」を発表し、ステップアップ方式の自立支援事業を行う事を発表、現在、緊急一時保護センター1カ所と自立支援センター4カ所を設置し、その事業を開始させています。けれど、昨年12月に緊急一時保護センター・大田寮を新規開設以来、この方式による自立支援事業が混迷を深めています。
アセスメント(振り分け)をするための施設として作られた大田寮では、相談体制が不十分で入寮後3週間も入寮者を待たせ、ようやく一回目の相談が入るという始末です。しかも、アセスメント決定が終わった後も、自立支援センターが満員だからと「待機」させられ続けます。入寮者の多くは「このままでは就労意欲すらなくなる」と悲鳴をあげています。
自立への意欲をもって入寮した人に就職活動もさせず、施設の中で「遊ばせている」のが緊急一時保護センターの実態であります。
また、自立支援センターも入所者の就職率は91.0%と極めて高いにもかかわらず、実際に自立できた人は46.4%(いずれも本年2月末までの累計統計)しかおらず、自立への「出口」たる住宅確保がうまく行っていない状態が続いています。私たちは特人厚宿泊所や都営住宅への優先枠などを設けるべきだと要望していますが、住宅局は住宅確保に向けての前向きな姿勢すら示そうとしていません。
「入り口」の施設ではひたすら「待たされ」続け、他方、「出口」の段階では猶予さえ与えず、期限中に民間アパートを探せなければ路上に戻る事を強要する。
これらの「混乱」の結果、全体の回転率はすこぶる落ち、新宿区では約1000名もの野宿者がいるにもかかわらず、毎月たったの10数名を募集するだけです。しかも8倍近い倍率の中、くじに当たった人だけが入れるという非常に厳しいものです。
各事業の中で効率的な運用すら出来ないのでは「効果」の程もたかが知れています。このままでは、一部の人しか利用できない偏った自立支援事業にしかなりません。
私たちはこれらの「混乱」を是正させるために、先月15日に東京都福祉局に「要望書」を提出し事業改善への意欲を示すよう迫っています。大田寮の中でも寮生が「改善を求めよう」と、施設長との交渉を行うなどたたかっています。
箱物だけ作って後は知らんでは困ります。私たちは箱物だけの問題ではなく、その事業が本当に使い易いか、本当に効果的であるのかにこそ注目しているのです。
国の「ホームレス自立支援法」制定を見込み、東京都は自立支援事業をより計画的、効率的に行うべきです。
路上生活者対策の拡充を求め、私たちはこの春、第8回新宿メーデーに向け声をあげ続けていきます。
ご支援お願い致します。